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46話 再燃2
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父の口から『アルブライトン公爵家』 …と聞き、ミレイユは学園の食堂でおきた不愉快な出来事を話した。
「…なるほど、アルブライトン公爵家の次男ジョゼフか…? 恐らく父親に何らかの指示をされたのかもしれないな」
父はミレイユにうなずき、腕組みをしながら頬をポリポリと指先でかいた。
「でも、お父様…? なぜ、アルブライトン公爵家がこんな嫌がらせをするのですか?」
「それはだね、私の実家のチェストール公爵家に、これ以上、力を持たせたくないからだよ…」
「あっ! 叔母さまは、国王陛下の妃で… そしてお父様は国王陛下の補佐官(側近)だから? それに王子殿下は…」
王妃様の息子、第1王子(ミレイユの従弟)は… 第2王子と王太子の座をめぐって争っている最中だわ?!
そして第2王子のお母様は、アルブライトン公爵家から嫁いだ側妃様!!
「……」
グルグルと頭の中で考えをめぐらせるミレイユを、父は嬉しそうにながめる。
「王太子争いの最中だから… 少しでもチェストール公爵家、家門の者の力を削ぎ取ろうとして? でも、なぜクレマンを狙うのですか?」
私ではなく… クレマンの悪いウワサを流したのなら… それはつまり、私との婚約を壊そうとしているのかしら?! そんなことでチェストール公爵家の力を、削ぎ取れるとは思えないけれど?!
「クレマン君が王宮で国につかえる、下級文官を希望していることは、学園では、知られているだろう?」
あくまでもクレマン個人の希望ということにして… ミレイユとの婚約を継続するために、ファーロウ家から出された条件だとは、明かしていない。
「はい…… あっ!」
「ミレイユも気づいたかな?」
父はベテラン教師のように、適切なヒントをあたえながら、ミレイユに考えさせ答えを導きださせる。
ミレイユが論文を出す勉強を始めたことで… 父も、娘の向上心を読み取り、ただ溺愛するだけだった態度を改めたのだ。
「今のうちにチェストール公爵派になりそうな『芽』を摘み取ろうと、しているのですか?!」
文官となり王宮にクレマンが入る前に、私と婚約破棄をさせれば… クレマンはチェストール公爵家とは何の縁も無くなる!
アルブライトン公爵が、クレマンが王立騎士団付きを希望すると知っていたら、恐らく何もしなかっただろう。
「まったく… 4大公爵家と呼ばれるアルブライトン公爵にしては、小賢しいことをするとは思わないか?!」
「本当にお父様のいうとおり、面倒な話ですね…?」
父と娘は顔を見合わせて、苦笑を浮かべた。
「ミレイユ、このまま婚約を継続したいのなら… クレマン君と夜会に出席して浮気のうわさはデタラメだと、お前たち2人の仲の良さを社交界に見せる必要がある」
「はい」
「だがクレマン君と婚約解消をする気なら、醜聞は放置して夜会には出なくても良い… 後は私が何とかする」
浮気をされて婚約解消した令嬢だと、ミレイユもただでは済まないが… その時は広い人脈を使い、良い嫁ぎ先を見つけることもできるのだと、父は言っているのだ。
「……」
クレマンが下級文官の試験を受けるまで、時間があると思っていたけれど……
「予定よりも早まってしまったが、クレマン君との婚約をどうするか… そろそろ決めても、良い頃だと思うのだがね、ミレイユ…?」
「…なるほど、アルブライトン公爵家の次男ジョゼフか…? 恐らく父親に何らかの指示をされたのかもしれないな」
父はミレイユにうなずき、腕組みをしながら頬をポリポリと指先でかいた。
「でも、お父様…? なぜ、アルブライトン公爵家がこんな嫌がらせをするのですか?」
「それはだね、私の実家のチェストール公爵家に、これ以上、力を持たせたくないからだよ…」
「あっ! 叔母さまは、国王陛下の妃で… そしてお父様は国王陛下の補佐官(側近)だから? それに王子殿下は…」
王妃様の息子、第1王子(ミレイユの従弟)は… 第2王子と王太子の座をめぐって争っている最中だわ?!
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「クレマン君が王宮で国につかえる、下級文官を希望していることは、学園では、知られているだろう?」
あくまでもクレマン個人の希望ということにして… ミレイユとの婚約を継続するために、ファーロウ家から出された条件だとは、明かしていない。
「はい…… あっ!」
「ミレイユも気づいたかな?」
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「今のうちにチェストール公爵派になりそうな『芽』を摘み取ろうと、しているのですか?!」
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父と娘は顔を見合わせて、苦笑を浮かべた。
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「はい」
「だがクレマン君と婚約解消をする気なら、醜聞は放置して夜会には出なくても良い… 後は私が何とかする」
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「……」
クレマンが下級文官の試験を受けるまで、時間があると思っていたけれど……
「予定よりも早まってしまったが、クレマン君との婚約をどうするか… そろそろ決めても、良い頃だと思うのだがね、ミレイユ…?」
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