17 / 59
16話 話し合い3
しおりを挟む
「……っ?!!」
クレマンは信じられない言葉を聞いたと… 驚愕の表情を浮かべ、パトリシアを支えるのを止めて離れた。
「あなたたちは…っ…?!」
「そうよ、ミレイユ! 私のお腹の子は… クレマンの子よ―――っ!」
青ざめて怯むミレイユを、もっと傷つけようと… パトリシアはかん高い声で、大きなうそを吐き続けた。
「やっぱりクレマン…… 浮気をして…」
ドクッ… ドクッ… ドクッ… と心臓があばらの内側で、激しくあばれ、ミレイユはナイフで胸を刺されたような、痛みを感じる。
「ミレイユ、しっかりして…?!」
動揺しふらつくミレイユを、隣にいたネリーが、友人を支えようと声をかけ、肩を抱く。
「……っ」
ネリーに支えられながら、ミレイユは自分の胸をおさえ… 大さわぎするパトリシアから、クレマンに視線を移す。
クレマンはぼうぜんとパトリシアを見つめ、名前を呼んだ。
「パトリシア……」
「私とクレマンは、愛しあっているのよぉ?!!」
「パトリシア…」
「私たちは子供の頃から、ずっと愛しあって来たのぉ!!!」
「パトリシア…!」
「それなのに、あなたが私からクレマンを奪って…!!」
「パトリシア―――ッ!!!」
強い怒りがこもった声で、クレマンが怒鳴った。
「あっ?!」
ミレイユを傷つけることばかりに、気を取られていたパトリシアは… 怒鳴られて初めて、クレマンに呼ばれていたことに気づいた。
「止めるんだ、パトリシア…」
「ク… クレマン! 教えてあげて…?! あの人に、あなたは私を愛していると?!」
パトリシアはミレイユを指さし、クレマンの顔を見あげて、切実に訴えた。
『子供の頃からずっと、兄妹のように仲が良かったクレマンなら、私を助けてくれるはず』 …とパトリシアはそう思っているのだ。
……だが、パトリシアの望みとは別の答えを、クレマンは出した。
「パトリシア、君は…… そんな卑劣なことができる人間になれと、本気で僕に、言っているのか?!」
「クレマン…?!」
冷ややかなクレマンの声を聞き、ミレイユを攻撃することで、熱くなっていたパトリシアの頭が、いっきに冷める。
「僕には、婚約者のミレイユがいるのに… 君を妊娠させるような… 僕はそんな卑劣で、不誠実な人間だと… 君は僕にそんな屈辱的なことを言えと…?! 君は僕を侮辱しているのか?!」
クレマンの目に、パトリシアを軽蔑する暗い影が浮かんでいる。
「……クレマン… 私は…っ?!」
パトリシアは、ミレイユに反撃しようとするあまり、判断をまちがえた。
ミレイユを傷つけるのではなく、クレマンの誇りを傷つけてしまったのだ。
クレマンは信じられない言葉を聞いたと… 驚愕の表情を浮かべ、パトリシアを支えるのを止めて離れた。
「あなたたちは…っ…?!」
「そうよ、ミレイユ! 私のお腹の子は… クレマンの子よ―――っ!」
青ざめて怯むミレイユを、もっと傷つけようと… パトリシアはかん高い声で、大きなうそを吐き続けた。
「やっぱりクレマン…… 浮気をして…」
ドクッ… ドクッ… ドクッ… と心臓があばらの内側で、激しくあばれ、ミレイユはナイフで胸を刺されたような、痛みを感じる。
「ミレイユ、しっかりして…?!」
動揺しふらつくミレイユを、隣にいたネリーが、友人を支えようと声をかけ、肩を抱く。
「……っ」
ネリーに支えられながら、ミレイユは自分の胸をおさえ… 大さわぎするパトリシアから、クレマンに視線を移す。
クレマンはぼうぜんとパトリシアを見つめ、名前を呼んだ。
「パトリシア……」
「私とクレマンは、愛しあっているのよぉ?!!」
「パトリシア…」
「私たちは子供の頃から、ずっと愛しあって来たのぉ!!!」
「パトリシア…!」
「それなのに、あなたが私からクレマンを奪って…!!」
「パトリシア―――ッ!!!」
強い怒りがこもった声で、クレマンが怒鳴った。
「あっ?!」
ミレイユを傷つけることばかりに、気を取られていたパトリシアは… 怒鳴られて初めて、クレマンに呼ばれていたことに気づいた。
「止めるんだ、パトリシア…」
「ク… クレマン! 教えてあげて…?! あの人に、あなたは私を愛していると?!」
パトリシアはミレイユを指さし、クレマンの顔を見あげて、切実に訴えた。
『子供の頃からずっと、兄妹のように仲が良かったクレマンなら、私を助けてくれるはず』 …とパトリシアはそう思っているのだ。
……だが、パトリシアの望みとは別の答えを、クレマンは出した。
「パトリシア、君は…… そんな卑劣なことができる人間になれと、本気で僕に、言っているのか?!」
「クレマン…?!」
冷ややかなクレマンの声を聞き、ミレイユを攻撃することで、熱くなっていたパトリシアの頭が、いっきに冷める。
「僕には、婚約者のミレイユがいるのに… 君を妊娠させるような… 僕はそんな卑劣で、不誠実な人間だと… 君は僕にそんな屈辱的なことを言えと…?! 君は僕を侮辱しているのか?!」
クレマンの目に、パトリシアを軽蔑する暗い影が浮かんでいる。
「……クレマン… 私は…っ?!」
パトリシアは、ミレイユに反撃しようとするあまり、判断をまちがえた。
ミレイユを傷つけるのではなく、クレマンの誇りを傷つけてしまったのだ。
96
お気に入りに追加
1,571
あなたにおすすめの小説
頑張らない政略結婚
ひろか
恋愛
「これは政略結婚だ。私は君を愛することはないし、触れる気もない」
結婚式の直前、夫となるセルシオ様からの言葉です。
好きにしろと、君も愛人をつくれと。君も、もって言いましたわ。
ええ、好きにしますわ、私も愛する人を想い続けますわ!
五話完結、毎日更新
(完結)だったら、そちらと結婚したらいいでしょう?
青空一夏
恋愛
エレノアは美しく気高い公爵令嬢。彼女が婚約者に選んだのは、誰もが驚く相手――冴えない平民のデラノだった。太っていて吹き出物だらけ、クラスメイトにバカにされるような彼だったが、エレノアはそんなデラノに同情し、彼を変えようと決意する。
エレノアの尽力により、デラノは見違えるほど格好良く変身し、学園の女子たちから憧れの存在となる。彼女の用意した特別な食事や、励ましの言葉に支えられ、自信をつけたデラノ。しかし、彼の心は次第に傲慢に変わっていく・・・・・・
エレノアの献身を忘れ、身分の差にあぐらをかきはじめるデラノ。そんな彼に待っていたのは・・・・・・
※異世界、ゆるふわ設定。
前世の旦那様、貴方とだけは結婚しません。
真咲
恋愛
全21話。他サイトでも掲載しています。
一度目の人生、愛した夫には他に想い人がいた。
侯爵令嬢リリア・エンダロインは幼い頃両親同士の取り決めで、幼馴染の公爵家の嫡男であるエスター・カンザスと婚約した。彼は学園時代のクラスメイトに恋をしていたけれど、リリアを優先し、リリアだけを大切にしてくれた。
二度目の人生。
リリアは、再びリリア・エンダロインとして生まれ変わっていた。
「次は、私がエスターを幸せにする」
自分が彼に幸せにしてもらったように。そのために、何がなんでも、エスターとだけは結婚しないと決めた。
あなたの婚約者は、わたしではなかったのですか?
りこりー
恋愛
公爵令嬢であるオリヴィア・ブリ―ゲルには幼い頃からずっと慕っていた婚約者がいた。
彼の名はジークヴァルト・ハイノ・ヴィルフェルト。
この国の第一王子であり、王太子。
二人は幼い頃から仲が良かった。
しかしオリヴィアは体調を崩してしまう。
過保護な両親に説得され、オリヴィアは暫くの間領地で休養を取ることになった。
ジークと会えなくなり寂しい思いをしてしまうが我慢した。
二か月後、オリヴィアは王都にあるタウンハウスに戻って来る。
学園に復帰すると、大好きだったジークの傍には男爵令嬢の姿があって……。
***** *****
短編の練習作品です。
上手く纏められるか不安ですが、読んで下さりありがとうございます!
エールありがとうございます。励みになります!
hot入り、ありがとうございます!
***** *****
【完結】名ばかり婚約者だった王子様、実は私の事を愛していたらしい ~全て奪われ何もかも失って死に戻ってみたら~
Rohdea
恋愛
───私は名前も居場所も全てを奪われ失い、そして、死んだはず……なのに!?
公爵令嬢のドロレスは、両親から愛され幸せな生活を送っていた。
そんなドロレスのたった一つの不満は婚約者の王子様。
王家と家の約束で生まれた時から婚約が決定していたその王子、アレクサンドルは、
人前にも現れない、ドロレスと会わない、何もしてくれない名ばかり婚約者となっていた。
そんなある日、両親が事故で帰らぬ人となり、
父の弟、叔父一家が公爵家にやって来た事でドロレスの生活は一変し、最期は殺されてしまう。
───しかし、死んだはずのドロレスが目を覚ますと、何故か殺される前の過去に戻っていた。
(残された時間は少ないけれど、今度は殺されたりなんかしない!)
過去に戻ったドロレスは、
両親が親しみを込めて呼んでくれていた愛称“ローラ”を名乗り、
未来を変えて今度は殺されたりしないよう生きていく事を決意する。
そして、そんなドロレス改め“ローラ”を助けてくれたのは、名ばかり婚約者だった王子アレクサンドル……!?
本日はお日柄も良く、白い結婚おめでとうございます。
待鳥園子
恋愛
とある誤解から、白い結婚を二年続け別れてしまうはずだった夫婦。
しかし、別れる直前だったある日、夫の態度が豹変してしまう出来事が起こった。
※両片思い夫婦の誤解が解けるさまを、にやにやしながら読むだけの短編です。
酒の席での戯言ですのよ。
ぽんぽこ狸
恋愛
成人前の令嬢であるリディアは、婚約者であるオーウェンの部屋から聞こえてくる自分の悪口にただ耳を澄ませていた。
何度もやめてほしいと言っていて、両親にも訴えているのに彼らは総じて酒の席での戯言だから流せばいいと口にする。
そんな彼らに、リディアは成人を迎えた日の晩餐会で、仕返しをするのだった。
お飾りの側妃ですね?わかりました。どうぞ私のことは放っといてください!
水川サキ
恋愛
クオーツ伯爵家の長女アクアは17歳のとき、王宮に側妃として迎えられる。
シルバークリス王国の新しい王シエルは戦闘能力がずば抜けており、戦の神(野蛮な王)と呼ばれている男。
緊張しながら迎えた謁見の日。
シエルから言われた。
「俺がお前を愛することはない」
ああ、そうですか。
結構です。
白い結婚大歓迎!
私もあなたを愛するつもりなど毛頭ありません。
私はただ王宮でひっそり楽しく過ごしたいだけなのです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる