従妹と親密な婚約者に、私は厳しく対処します。

みみぢあん

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8話 パトリシアの気持ち2 パトリシアside

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 小さくて子供みたいなクレマンの婚約者のミレイユが、顔を赤くして怒りに震えている。
 クレマンにしがみついたパトリシアは、そっとミレイユのようすをうかがい、思わず笑ってしまった。

「……」
 ふふふっ… いい気味だわ!! 私の方が、ずっと昔からクレマンを好きだったのに… あなたが私のクレマンと、婚約なんてするから、いけないのよミレイユ?! 


 子供の頃から、ずっとクレマンが好きだったパトリシアは… 
『クレマンと結婚する!』 …と両親や親戚たちに、宣言せんげんするほどだった。
 だが、パトリシアがいくら恋愛感情をいだいていても、クレマンの方は…
『パトリシアは、僕の妹のような存在なんだ!』 …と可愛がりはするが、けして一人の女性としては、見ていなかった。

 いつまでたっても、女性として見てもらえないパトリシアは、クレマンをあきらめ、父親が決めたコッドソール伯爵家の後継者と婚約した。
 
「……っ」
 婚約したばかりの頃は、上手くいっていたのに… 4歳年上の婚約者シャルルは、とてもハンサムでステキで… クレマンを忘れようと、努力していた私に、新しいことをたくさん教えてくれる、優しい人だと思っていた! 
 だから私も、シャルルに夢中になったわ!
 でも彼は、私にだけ特別、優しいわけでは無かった!! 他の女性にも優しくて… シャルルには私と婚約する前から、たくさん恋人がいて……!!

 婚約者シャルルは、コッドソール伯爵家の使用人に手を出し、子供が産ませた。 
 そのことを知ったパトリシアの父は、婚約を破棄したのだ。 


 パトリシアはすらりと背の高い、クレマンにしがみつき… 自分を守るために、婚約者のミレイユと言い争う、クレマンの端正たんせいな顔を見あげた。

「……」
 やっぱりクレマンが1番、好き! 浮気者のシャルルと婚約破棄をしたおかげで、今のクレマンは私に同情して、私だけを見てくれる!!
 それに、こうしてクレマンに胸を押し付けると… 私に対してクレマンは、昔とは違く反応を見せるようになったわ?!
 ふふふっ… 
 頬を少し赤らめて、クレマンが恥かしそうにするのは… 私に女性の魅力を感じて、意識しているからでしょう?! 
 ねぇ… クレマン?! 

 チラリッ… と子供のように細くて小柄なミレイユを見て、パトリシアは嘲笑あざわらう。

 昔からの片思いが、今こそ成就じょうじゅし… クレマンを手に入れられると、パトリシアは確信する。




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