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第十九話 魔物と人 4
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「どこだここ」
了が目を覚ますと見知らぬ木造の家にいた。体をまさぐると戦いの傷が消えていた。何らかの治療をうけていたのだ。
「いったい何が?」
「や、目が覚めたかい了」
その声にドキリとして声の方に振り向く。そこにはイバラキがいた。了はどこなんだここはと敵意を向けながら当然の疑問をイバラキにぶつける。
イバラキは私の家だと、なだめるように話す。了は目の前にイバラキが居ることで戦いの勝敗が気になり尋ねた。
「勝負はどうなったんだ?」
「あんたの勝ちさ」
イバラキは酒を飲みながら話し始める。
「闘いのあと気絶した私たちは、気絶から目覚めた天狗の風華にここに運ばれたんだ」
「その風華に傷を治してもらったのか」
了は傷のない自分の体を見ながらイバラキに訪ねた。
「ああ、かまいたちの薬でな。使えばどんな傷も治るいいものだ」
イバラキがそう答えると、扉が開いた。
「調子はどうだ」」
その言葉と入ってきた者は、カラス天狗少女の風華であった。了は何者か尋ねる。
「あんたは一体誰だ」
「私の名は、風華。今回の騒動の首謀者だ」
「えっ主犯て、イバラキじゃないの!?」
風華の言葉に了は驚き、イバラキの顔を見た イバラキはがっくりと肩を落としていた。
「あーあ、せっかく私のせいにしたのに~」
イバラキはため息を吐く。自らが罪をかぶり隠すつもりだったからだ。しかし風華は毅然とした態度で断る。
「あんたにかばってもらう必要はない。了だったな。私も葉月に戦いを挑み負けた」
その風華の言葉に、了は葉月と菫の事を思い出して、安否をイバラキに聞き出す。
「そうだ!! 葉月と菫は?」
「二人とも無事さ、外を見てみ」
イバラキはそう言い窓を指さす。窓から外を見てみると了は今いる家がツリーハウスだとわかり、家の下では、河童の白川と言い争う菫と、黙々と素振りをする葉月の姿があった。無事である二人を見て了は安どのため息をついた
「ほっとしたぜ。……なあイバラキ本当にあいつらを殺すつもりだったのか?」
「……どうだろうね」
酒をあおり、はぐらかすイバラキ。実際のところは殺す気は無かったのだ。ただ鬼として、了と本気で戦ってみたかっただけである。そんな彼女をよそに風華は、了に向かって正座して言葉を発した。
「今回の事件の責任はすべて私にある。すべての罰は私にしろ」
風華は了に向かい命を差し出した。了はしばし口を閉じて考えた。そして風華に向かって穏やかに話した。
「……たしかにあんたは事件を起こそうとした。だが起こそうとしただけさ。起きていないそれなら罪もない」
その言葉に二人は眼を丸くした。大なり小なりの罰を受けると考えていたからだ。
「しかし……」
そう言われ風華は困った。自身の死を覚悟していたのだから。寛大な処置に困惑して戸惑う風華に対し了は優し気に話す。
「しかしも何も、菫も葉月も無事だし。気絶した私を殺さずに怪我を治して助けてくれたんだからな」
「それは戦いに勝ったからで……」
風華はさらに困惑した。しかし了は、「結果として、誰も死んでないからいいのさ」そう言って横になり寝た。
―――
その後了たち3人は人里に戻った。
管理所には何もなかったとだけ報告した。その際、葉月が反対するかと思ったが何もしなかった。風華との戦いで何か考えることができたのかもしれない。了は良い方向に向かえばいいと考えた。
この報告にアサキシは怪訝な顔をしたが人里に何も無かったため、コレを良しとした。そして、了は管理所で倒れた。エルカード同時使用で体に無理が祟った。体に強力な負荷がかかった事が診療所でわかった。
診療所にて。 ムクが了が入院したと聞いて見舞いに来ていた。そして今回の騒動の顛末を聞いた。
「そんなことがあったんだ」
「誰も死ななくて良かったよ」
了はそう言いながら、病院の食事を食べる。ムクは葉月と知らぬ菫の事を尋ねる。
「葉月とえっと菫さんだっけ、その二人はここに来たの」
「あいつ等きたのは来たが……」
二人が来た時のことを思い出す。葉月は助けられたこと感謝し、果物を食べて帰った。菫は河童に対する愚痴と河童退治の相談だった。それら思い出して了は「うーん大変だった」と苦笑して、ムクは「そっか」と了の言葉を聞き笑った。
―――
妖怪の里の小さな飲み屋にて、イバラキと風華がカウンター席で酒を飲んでいた。前回、風華とイバラキが話をしたところだ。イバラキは酒を片手につぶやく。
「今日は大変だったな」
「ああ」
風華もそれに頷いて酒を飲み、今日のことを振り返りながらイバラキにある事を尋ねる。
「なぜ反対していたあんたが闘いに加わった。なぜ私をかばおうとした」
それに対してイバラキは頬をかきながら恥ずかしそうに答えた。
「初めは怪我人の回収だけしようと思っていたんだがな。風華の戦いを見て。何もしてない自分が嫌になったのさ」
そう言って自身の右腕の傷を見る。イバラキの気持ちは、人間に敗れたあの時から自分の気持ちは止まっていたのかもしれない。イバラキの言葉を聞いて風華は目を丸くした。
「それだけなのか」
「そうだな」
そう頷いて、酒を美味しそうに飲むイバラキ、それをみて風華も酒をあおる。飲む酒はあの時と同じなのにどこか違い、美味しかった。二人は夜遅くまで店にいた。
逃げ惑った者が行く場所は世界の果てである しかしどんな場所にも希望はあり楽しみもある。今を生きるのに大切なのは自分の気持ちなのかもしれない。
了が目を覚ますと見知らぬ木造の家にいた。体をまさぐると戦いの傷が消えていた。何らかの治療をうけていたのだ。
「いったい何が?」
「や、目が覚めたかい了」
その声にドキリとして声の方に振り向く。そこにはイバラキがいた。了はどこなんだここはと敵意を向けながら当然の疑問をイバラキにぶつける。
イバラキは私の家だと、なだめるように話す。了は目の前にイバラキが居ることで戦いの勝敗が気になり尋ねた。
「勝負はどうなったんだ?」
「あんたの勝ちさ」
イバラキは酒を飲みながら話し始める。
「闘いのあと気絶した私たちは、気絶から目覚めた天狗の風華にここに運ばれたんだ」
「その風華に傷を治してもらったのか」
了は傷のない自分の体を見ながらイバラキに訪ねた。
「ああ、かまいたちの薬でな。使えばどんな傷も治るいいものだ」
イバラキがそう答えると、扉が開いた。
「調子はどうだ」」
その言葉と入ってきた者は、カラス天狗少女の風華であった。了は何者か尋ねる。
「あんたは一体誰だ」
「私の名は、風華。今回の騒動の首謀者だ」
「えっ主犯て、イバラキじゃないの!?」
風華の言葉に了は驚き、イバラキの顔を見た イバラキはがっくりと肩を落としていた。
「あーあ、せっかく私のせいにしたのに~」
イバラキはため息を吐く。自らが罪をかぶり隠すつもりだったからだ。しかし風華は毅然とした態度で断る。
「あんたにかばってもらう必要はない。了だったな。私も葉月に戦いを挑み負けた」
その風華の言葉に、了は葉月と菫の事を思い出して、安否をイバラキに聞き出す。
「そうだ!! 葉月と菫は?」
「二人とも無事さ、外を見てみ」
イバラキはそう言い窓を指さす。窓から外を見てみると了は今いる家がツリーハウスだとわかり、家の下では、河童の白川と言い争う菫と、黙々と素振りをする葉月の姿があった。無事である二人を見て了は安どのため息をついた
「ほっとしたぜ。……なあイバラキ本当にあいつらを殺すつもりだったのか?」
「……どうだろうね」
酒をあおり、はぐらかすイバラキ。実際のところは殺す気は無かったのだ。ただ鬼として、了と本気で戦ってみたかっただけである。そんな彼女をよそに風華は、了に向かって正座して言葉を発した。
「今回の事件の責任はすべて私にある。すべての罰は私にしろ」
風華は了に向かい命を差し出した。了はしばし口を閉じて考えた。そして風華に向かって穏やかに話した。
「……たしかにあんたは事件を起こそうとした。だが起こそうとしただけさ。起きていないそれなら罪もない」
その言葉に二人は眼を丸くした。大なり小なりの罰を受けると考えていたからだ。
「しかし……」
そう言われ風華は困った。自身の死を覚悟していたのだから。寛大な処置に困惑して戸惑う風華に対し了は優し気に話す。
「しかしも何も、菫も葉月も無事だし。気絶した私を殺さずに怪我を治して助けてくれたんだからな」
「それは戦いに勝ったからで……」
風華はさらに困惑した。しかし了は、「結果として、誰も死んでないからいいのさ」そう言って横になり寝た。
―――
その後了たち3人は人里に戻った。
管理所には何もなかったとだけ報告した。その際、葉月が反対するかと思ったが何もしなかった。風華との戦いで何か考えることができたのかもしれない。了は良い方向に向かえばいいと考えた。
この報告にアサキシは怪訝な顔をしたが人里に何も無かったため、コレを良しとした。そして、了は管理所で倒れた。エルカード同時使用で体に無理が祟った。体に強力な負荷がかかった事が診療所でわかった。
診療所にて。 ムクが了が入院したと聞いて見舞いに来ていた。そして今回の騒動の顛末を聞いた。
「そんなことがあったんだ」
「誰も死ななくて良かったよ」
了はそう言いながら、病院の食事を食べる。ムクは葉月と知らぬ菫の事を尋ねる。
「葉月とえっと菫さんだっけ、その二人はここに来たの」
「あいつ等きたのは来たが……」
二人が来た時のことを思い出す。葉月は助けられたこと感謝し、果物を食べて帰った。菫は河童に対する愚痴と河童退治の相談だった。それら思い出して了は「うーん大変だった」と苦笑して、ムクは「そっか」と了の言葉を聞き笑った。
―――
妖怪の里の小さな飲み屋にて、イバラキと風華がカウンター席で酒を飲んでいた。前回、風華とイバラキが話をしたところだ。イバラキは酒を片手につぶやく。
「今日は大変だったな」
「ああ」
風華もそれに頷いて酒を飲み、今日のことを振り返りながらイバラキにある事を尋ねる。
「なぜ反対していたあんたが闘いに加わった。なぜ私をかばおうとした」
それに対してイバラキは頬をかきながら恥ずかしそうに答えた。
「初めは怪我人の回収だけしようと思っていたんだがな。風華の戦いを見て。何もしてない自分が嫌になったのさ」
そう言って自身の右腕の傷を見る。イバラキの気持ちは、人間に敗れたあの時から自分の気持ちは止まっていたのかもしれない。イバラキの言葉を聞いて風華は目を丸くした。
「それだけなのか」
「そうだな」
そう頷いて、酒を美味しそうに飲むイバラキ、それをみて風華も酒をあおる。飲む酒はあの時と同じなのにどこか違い、美味しかった。二人は夜遅くまで店にいた。
逃げ惑った者が行く場所は世界の果てである しかしどんな場所にも希望はあり楽しみもある。今を生きるのに大切なのは自分の気持ちなのかもしれない。
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