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第十九話 魔物と人 2
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少し前菫は川辺をバイクで移動していた。水の流れる音は心地よく、緑豊かな自然による美しい風景。心地よい風そのおかげか苛立っていた心が穏やかになりそうだった。しかし突如、
「おいッ!お前ッ止まれッ」
「おん?」
大声で呼び止められる。心地よい気分を阻害されたため、菫はイラつきながら声がした方を向くと川から上半身を出した、白いバンダナ緑色の水中服を着た少女が菫を睨んでいた。
菫の知り合いではなかった。菫が「何だお前と問う」と相手は「河童」と答えた。そして菫に、威圧的に話しかけてきた。
「アタイの名は白川だ、人間ごときがここにきてんじゃねーよ」
白川は大声で菫を威圧する。そんな態度にイラつきながらも菫は友好的に話を進めようとする。まだ相手が何もしていないからだ。また菫が河童と言えば人間に友好的なイメージをもっていたためでもある
「河童は人に友好的な奴らじゃなかったか?」
「それは新参者の河童だッ 一緒にすんじゃねーよ!」
「新参か新参じゃないかは知らんが、私は妖怪の里へ行きたいだけだ、通る」
相手の対応に菫は我慢して無視し先を急ごうとした。その瞬間、菫の頭にめがけ大きな石が投げつけられた
「何ィ!?」
菫は何とか避けたもののバイクと共に転倒してしまう。菫に当たらなかった石は菫の背後の木に当たり木の幹をえぐり、深く傷つけた。もし石が当たれば菫は死んでいただろう。
白川は転倒した菫を見て笑う。
「風華の言う通りだよな。人間がこんなに好き勝手するの見逃してのかな。仲間はよー」
こけた菫を見てバカにしながら喋る。菫は立ち直り服についた汚れを落とし白川を見据えて叫んだ。
「河童…… 川に寄生するゴミヘドロ以下の分際で偉そうに喋ってんじゃーねーぞッ!」
「なんだとッテメー!」
「お前は殺してやるゥーー」
菫は怒声とともに殺意を向ける。しかし河童は臆さず逃げもしない。
「こっちの言う言葉だーッ」
河童も菫に対し殺意を向け、戦闘態勢に入った。
「装着ッ!」
菫の言葉に反応してブレスレットが光り、パワードスーツが構築・装備されていく。
その光景にさすがの河童も面食らった。そして光の中から現れたのは近未来的な赤とグレーの装甲のパワードスーツ纏った菫だった。
「怖くねーし人の道具なんてさー」
白川の言葉には虚勢が含まれていた。
「それじゃ行くぞッ!」
スーツの腰部分に装着されているブレードを手に持ち、突撃する。
「速い!?」
白川は驚愕した。人間が出せるスピードではなかったからだ。目の前には刃を振り下ろさんとする菫の姿が。河童は危険と判断し水中深く潜り回避を試みた。
「オラッ!」
ブレードを叩き付けるが空振りし、水を切っただけだ。攻撃の失敗に舌うちしたその時、水から手が伸び菫の足を掴み思い切り引きずり込んだ。突然のことでブレードを手放しまう。
「くそがァアアア」
自動回避機能はこのスーツにはついてない。菫は水に引き込まれ、水中戦を強いられることになった。
川の中に入った菫を見て白川は笑みを浮かべた。
「ここからが河童のステージだッ!」
「バカいうじゃねーぜッ」
菫は手を振りほどき白川の顔に殴りかかるが受け止められてしまう。彼女は攻撃が不発に終わり舌打ちした。水中によってスーツの力が半減していたのだ。本来の性能ならば顔を砕いていただろう。そんな菫とは逆に河童は水中にいることで力が増していた。
「せいやーッ」
菫の腕を引き寄せ、顔を思いっきり殴った。左腕を掴んだまま何度も逃げられないように。
「グゥ」
ヘルメットには亀裂が入り、白川は勝利を感じた。菫に吐き捨てるように言い放つ。
「人間風情がこんなもんか」
「……なぜ足を掴んだままにしなかったんだ」
菫のか細い声が聞こえた。水に引き込んだ時のことだ。菫の声に河童はにやつく。
「そんなことしなくても勝てるからだ」
余裕の態度で答えた。相手の態度に菫は少し沈黙して言葉を発する。
「なら今掴んでる腕を…… 離してくれ」
それを聞いた白川は大笑いした。勝利の笑いだ。水中のため声の音量が下げられていた事は菫にとって良かった。そして菫に対して、冷徹な判断を下す。
「いやだね、お前の言うことなんか聞くか」
「そうかい、じゃあ死ね」
菫は白川のその言葉で殺すことを決めた。
〔マキシマム〕
機械音声が鳴る。それは白川にも聞こえ、不思議がる。
「なんだ今のはギャッーーーーーーー」
白川は痛みで絶叫した。菫の左腕が赤く光っており、その左腕に触れていた自らの手が爆裂して大きな火傷と傷を負っていた。あまりの痛みに考えることができない。そんなスキを菫は見逃さなかった。
「ウバッシャアアアアアア!!」
手を振りほどき白川の体に拳を連打する。パワーが低下されているとはいえ無防備な状態では十分な威力であった。
「ゴブァッッ」
攻撃によって水中から飛び出し、岸辺までぶっ飛ばされた。そして、水中というアドバンテージを失ってしまった。
「フン」
菫も川から上がり、傷を負う白川を見据える。白川は痛みに堪え立ち上がる。叫び問いかける。
「なにした人間…… 何をしたんだッ!」
「言わねーよ」
菫は笑い、拒絶した。
スーツの左腕は赤く発光したままだ。使用したこのスーツの機能は発光した部分に触れると、触れた物を爆発させる機能だ。
この力は強力であるが連続で2回しか使えない。連続使用した後はスーツの機能が大幅低下してしまう。使用後は時間を置かなければならない。
拳を構えて、負傷した白川を見据える菫。
「さあ、ここからが私のステージだ」
「うぅ……」
相手の言葉に怯む白川。
「マキシマム」
〔マキシマム〕
音声入力したことで今度は右足が赤く発光する。
「ヴァアアアアアアア!!」
白川はなけなしの力と意地で立ち上がり、菫に向かい殴りかかった。
「……フン」
菫は相手の拳を避け、カウンターキックを腹部に叩き込んだ。
白川の腹部は爆裂し口から大量の血が噴き出す 白川の血があたりを染めた。
「ゴヴォ」
そして、そのまま地に倒れた。
「なぜ逃げなかったんだ、意地か? 地上じゃ勝ち目はないんだぜ」
血のに染まった白川を見下しながら問いかける菫。だが白川は問いかけに反応しない、怪我によって気絶したのだ。菫は足で倒れる白川の頭を踏み抜こうとする。
「死んでそのバカなおせ」
「いい戦いだったがそこまでだ」
「誰だ!?」
しかし、謎の声に動きを止められる。彼女は新手の敵と警戒しながら声がした方に向く。
そこにいたのは二本の角を生やした鬼の女性だった。右腕には古傷が見て取れた。菫は鬼に威圧的に尋ねる。
「テメェの仲間か」
「違うねぇ」
「じゃあなぜ止める」
話をしながら菫はスーツからタッチパネルを取り出しバイクを近場まで呼ぶ。
「いいじゃないかあんたは勝った。それ以上何を望む」
「勝ったんだからいいだろ、何を望んでも」
バイクからメリケンサックを取り出し装備する。鬼は黙って見ている。
「なあ人間私と戦えよ、そっちが負けたら見逃すいいな」
「得がない」
「あるさ、勝ったら今回の騒動の犯人を教えてやる」
「……いいぜ」
「良し」
鬼は喜んだ。菫の内心は冷や汗をかいていた。スーツの力を使った今、鬼と戦うのは不利だからだ。
しかし自分の感からこの鬼も今回の騒動に関わりがあると感じた。そのため逃げたところで結局は戦わなければならない。また時間を置く事で人里に被害が出ることも考えた。
菫と鬼、両者間合いを詰める。一撃で終わらせるつもりだ。
「オラッーー」
菫の拳は鬼の頭に直撃した。頭からは血が一筋流れた。しかし、鬼は倒れず耐えきった。
そして、菫の胸部に拳を放った。拳は装甲を砕き、本体にも衝撃を与えた。
「ガアアアア」
鬼の攻撃により後方へ吹っ飛ばされる菫。なんども地面に叩きつけられてようやく止まった。スーツには大きなひびが入り、強制的に装着解除されていく。
「…………」
菫は命あるも気絶していた。
「いやーいい拳だった約束事守ってもらうよ。てか聞いてないか」
そう言いながら倒れている二人に、かまいたちの薬を与えると何もなかったように治った。かまいたちの薬とはどんな怪我も、たちどころに治してしまう優れものである。
「さすが、かまいたちの薬。さてこの二人どうしようか」
置き去りにするのはまずいと考え、鬼はバイクを草陰に隠し、二人を背良い山にむかった。
菫 戦闘不能
「おいッ!お前ッ止まれッ」
「おん?」
大声で呼び止められる。心地よい気分を阻害されたため、菫はイラつきながら声がした方を向くと川から上半身を出した、白いバンダナ緑色の水中服を着た少女が菫を睨んでいた。
菫の知り合いではなかった。菫が「何だお前と問う」と相手は「河童」と答えた。そして菫に、威圧的に話しかけてきた。
「アタイの名は白川だ、人間ごときがここにきてんじゃねーよ」
白川は大声で菫を威圧する。そんな態度にイラつきながらも菫は友好的に話を進めようとする。まだ相手が何もしていないからだ。また菫が河童と言えば人間に友好的なイメージをもっていたためでもある
「河童は人に友好的な奴らじゃなかったか?」
「それは新参者の河童だッ 一緒にすんじゃねーよ!」
「新参か新参じゃないかは知らんが、私は妖怪の里へ行きたいだけだ、通る」
相手の対応に菫は我慢して無視し先を急ごうとした。その瞬間、菫の頭にめがけ大きな石が投げつけられた
「何ィ!?」
菫は何とか避けたもののバイクと共に転倒してしまう。菫に当たらなかった石は菫の背後の木に当たり木の幹をえぐり、深く傷つけた。もし石が当たれば菫は死んでいただろう。
白川は転倒した菫を見て笑う。
「風華の言う通りだよな。人間がこんなに好き勝手するの見逃してのかな。仲間はよー」
こけた菫を見てバカにしながら喋る。菫は立ち直り服についた汚れを落とし白川を見据えて叫んだ。
「河童…… 川に寄生するゴミヘドロ以下の分際で偉そうに喋ってんじゃーねーぞッ!」
「なんだとッテメー!」
「お前は殺してやるゥーー」
菫は怒声とともに殺意を向ける。しかし河童は臆さず逃げもしない。
「こっちの言う言葉だーッ」
河童も菫に対し殺意を向け、戦闘態勢に入った。
「装着ッ!」
菫の言葉に反応してブレスレットが光り、パワードスーツが構築・装備されていく。
その光景にさすがの河童も面食らった。そして光の中から現れたのは近未来的な赤とグレーの装甲のパワードスーツ纏った菫だった。
「怖くねーし人の道具なんてさー」
白川の言葉には虚勢が含まれていた。
「それじゃ行くぞッ!」
スーツの腰部分に装着されているブレードを手に持ち、突撃する。
「速い!?」
白川は驚愕した。人間が出せるスピードではなかったからだ。目の前には刃を振り下ろさんとする菫の姿が。河童は危険と判断し水中深く潜り回避を試みた。
「オラッ!」
ブレードを叩き付けるが空振りし、水を切っただけだ。攻撃の失敗に舌うちしたその時、水から手が伸び菫の足を掴み思い切り引きずり込んだ。突然のことでブレードを手放しまう。
「くそがァアアア」
自動回避機能はこのスーツにはついてない。菫は水に引き込まれ、水中戦を強いられることになった。
川の中に入った菫を見て白川は笑みを浮かべた。
「ここからが河童のステージだッ!」
「バカいうじゃねーぜッ」
菫は手を振りほどき白川の顔に殴りかかるが受け止められてしまう。彼女は攻撃が不発に終わり舌打ちした。水中によってスーツの力が半減していたのだ。本来の性能ならば顔を砕いていただろう。そんな菫とは逆に河童は水中にいることで力が増していた。
「せいやーッ」
菫の腕を引き寄せ、顔を思いっきり殴った。左腕を掴んだまま何度も逃げられないように。
「グゥ」
ヘルメットには亀裂が入り、白川は勝利を感じた。菫に吐き捨てるように言い放つ。
「人間風情がこんなもんか」
「……なぜ足を掴んだままにしなかったんだ」
菫のか細い声が聞こえた。水に引き込んだ時のことだ。菫の声に河童はにやつく。
「そんなことしなくても勝てるからだ」
余裕の態度で答えた。相手の態度に菫は少し沈黙して言葉を発する。
「なら今掴んでる腕を…… 離してくれ」
それを聞いた白川は大笑いした。勝利の笑いだ。水中のため声の音量が下げられていた事は菫にとって良かった。そして菫に対して、冷徹な判断を下す。
「いやだね、お前の言うことなんか聞くか」
「そうかい、じゃあ死ね」
菫は白川のその言葉で殺すことを決めた。
〔マキシマム〕
機械音声が鳴る。それは白川にも聞こえ、不思議がる。
「なんだ今のはギャッーーーーーーー」
白川は痛みで絶叫した。菫の左腕が赤く光っており、その左腕に触れていた自らの手が爆裂して大きな火傷と傷を負っていた。あまりの痛みに考えることができない。そんなスキを菫は見逃さなかった。
「ウバッシャアアアアアア!!」
手を振りほどき白川の体に拳を連打する。パワーが低下されているとはいえ無防備な状態では十分な威力であった。
「ゴブァッッ」
攻撃によって水中から飛び出し、岸辺までぶっ飛ばされた。そして、水中というアドバンテージを失ってしまった。
「フン」
菫も川から上がり、傷を負う白川を見据える。白川は痛みに堪え立ち上がる。叫び問いかける。
「なにした人間…… 何をしたんだッ!」
「言わねーよ」
菫は笑い、拒絶した。
スーツの左腕は赤く発光したままだ。使用したこのスーツの機能は発光した部分に触れると、触れた物を爆発させる機能だ。
この力は強力であるが連続で2回しか使えない。連続使用した後はスーツの機能が大幅低下してしまう。使用後は時間を置かなければならない。
拳を構えて、負傷した白川を見据える菫。
「さあ、ここからが私のステージだ」
「うぅ……」
相手の言葉に怯む白川。
「マキシマム」
〔マキシマム〕
音声入力したことで今度は右足が赤く発光する。
「ヴァアアアアアアア!!」
白川はなけなしの力と意地で立ち上がり、菫に向かい殴りかかった。
「……フン」
菫は相手の拳を避け、カウンターキックを腹部に叩き込んだ。
白川の腹部は爆裂し口から大量の血が噴き出す 白川の血があたりを染めた。
「ゴヴォ」
そして、そのまま地に倒れた。
「なぜ逃げなかったんだ、意地か? 地上じゃ勝ち目はないんだぜ」
血のに染まった白川を見下しながら問いかける菫。だが白川は問いかけに反応しない、怪我によって気絶したのだ。菫は足で倒れる白川の頭を踏み抜こうとする。
「死んでそのバカなおせ」
「いい戦いだったがそこまでだ」
「誰だ!?」
しかし、謎の声に動きを止められる。彼女は新手の敵と警戒しながら声がした方に向く。
そこにいたのは二本の角を生やした鬼の女性だった。右腕には古傷が見て取れた。菫は鬼に威圧的に尋ねる。
「テメェの仲間か」
「違うねぇ」
「じゃあなぜ止める」
話をしながら菫はスーツからタッチパネルを取り出しバイクを近場まで呼ぶ。
「いいじゃないかあんたは勝った。それ以上何を望む」
「勝ったんだからいいだろ、何を望んでも」
バイクからメリケンサックを取り出し装備する。鬼は黙って見ている。
「なあ人間私と戦えよ、そっちが負けたら見逃すいいな」
「得がない」
「あるさ、勝ったら今回の騒動の犯人を教えてやる」
「……いいぜ」
「良し」
鬼は喜んだ。菫の内心は冷や汗をかいていた。スーツの力を使った今、鬼と戦うのは不利だからだ。
しかし自分の感からこの鬼も今回の騒動に関わりがあると感じた。そのため逃げたところで結局は戦わなければならない。また時間を置く事で人里に被害が出ることも考えた。
菫と鬼、両者間合いを詰める。一撃で終わらせるつもりだ。
「オラッーー」
菫の拳は鬼の頭に直撃した。頭からは血が一筋流れた。しかし、鬼は倒れず耐えきった。
そして、菫の胸部に拳を放った。拳は装甲を砕き、本体にも衝撃を与えた。
「ガアアアア」
鬼の攻撃により後方へ吹っ飛ばされる菫。なんども地面に叩きつけられてようやく止まった。スーツには大きなひびが入り、強制的に装着解除されていく。
「…………」
菫は命あるも気絶していた。
「いやーいい拳だった約束事守ってもらうよ。てか聞いてないか」
そう言いながら倒れている二人に、かまいたちの薬を与えると何もなかったように治った。かまいたちの薬とはどんな怪我も、たちどころに治してしまう優れものである。
「さすが、かまいたちの薬。さてこの二人どうしようか」
置き去りにするのはまずいと考え、鬼はバイクを草陰に隠し、二人を背良い山にむかった。
菫 戦闘不能
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