上 下
17 / 63

第十六話 月の願い 2

しおりを挟む
 二人は開けた場所にたどり着いた。そこにはたき火跡があり、誰かいた痕跡があった。

「おそらく、ここらへんにいるだろう」

 葉月はあたりの茂みや木々を見渡し気配を探る。それを了は見て尋ねた。

「わかるのか?」

「ああ。封魔に居たから魔物の気配がわかるんだよ…… 近くにいるぞ」

 そう言いながら刀を構え警戒する葉月。葉月の言葉に了もカードを取り出した。

 その時、居ることがばれたと思ったのか茂みの中から、古代中国のドレスを着た兎の耳を生やした、人のような魔物が叫びながら飛び出してきた。

「先ほどの恨み! 喰らえやけがれ人―――」

 戦いが始まった。

 数分後。そこには

「どうか命だけはご容赦を……」


 涙を流し、命乞いをする一人の妖怪がいた。了は何とか落ち着かせ話を聞く。

「お前たちはどこから来た?」

 了の問いかけに相手は口をもごもごさせながら、月からと答えた。その答えに了はため息をつき、葉月は信じず怒り刀を向ける。

「月からだと嘘言うな!!」

「本当ですって……」

「本当だとも!!」
 妖怪は小さい声で答えた。了は情報を聞くため、怒る葉月を鎮めようとする。

「落ち着け葉月。この期において嘘言う奴なんていないだろ。 お前たちは何者でどうして来た?」

「私は月のみやこに住む月兎つきうさぎと呼ばれるもので、ある方の命でここに来た」

「ある方とは誰だ。なぜエルカードを盗んだ。あとけがれ人ってなんだ」

 葉月は刀を構え、脅しながら聞く。そのせい月兎はおいおいと泣き出してしまった。

「怖いよ……」

 了が再び、泣き止ませて話を聞く。了は泣き止ませている途中、何をやっているんだろうと謎の感情が浮かんだ。
 泣き止ませた甲斐あってか、月兎は了に対して心を少し開いたのか詳細を話しはじめた。

「名は言えませんがある方がエルカードなる物がこの夢幻界にあるから持ってきてほしいと……」

「なるほど、さきほどの穢れ人とは、いったいどういう意味だ?」

けがれ人とは生きる上で殺生をしたり、老いたりする者や罪を受け入れた者の事です」

「しかし生きる上で殺したり老いたりすることは普通ではないか」

 了の言葉にそんな考えだからと月兎が否定する

「それは穢れた地にいる者の言い分。月は穢れてなく心穏やかに暮らせるのよ」

「そういうもんかね。なぜエルカードをほしがった」

「ある方が夢幻界は最も穢れた場所でエルカードがそんな場所にあってはもったいないと……」

「前から夢幻界の事は知ってたのか」

 了の言葉にうなずく月兎。

「『五年前の出来事』で夢幻界の存在は認知していましたが、夢幻界はゴミが集まる世界。最もけがれた地で接触してはならないと言われていました。しかしこのけがれた地にふさわしくない宝があると知り……」

「それで盗んだのか、お前たち月に住んでるやつらロクでもないな」

 葉月が口を挟む、その言葉に月兎が大きな声で反論する。

「そんなことない、月は清らかなものしかいないぞ!!」

「なのにけがれている地には勿体無いという理由だけで盗んだ。やっていることは蛮族バンゾクだな。輝夜姫もそりゃ戻りたくないと言うものだな」

「何だと!! 輝夜姫さまのことは言うな!」

 葉月の言葉に月兎が抗議した。月に住むものとして彼女らにも多少の優越感、プライドがあるからだ

「……輝夜姫の例えは冗談で言ったんだがな。本当に月からか」

 葉月は少し驚いた。幼少のときに聞いた物語の人物の名が出たからだ。そんなやりとりをよそに了は、なぜ、お前は帰らないのかと尋ねた。

「お前はどうして此処にいる? 盗んだ奴と一緒に月に帰ればよかったのに」

「私はこの夢幻界の調査を命じられた。それにさっき変な機械にのったけがれ人に、月に帰る装置を無理やり使われて月へ帰るまでの力がたまっていないのだ」

 そう言い光る玉を取り出した。了は月兎が言った変な機械に乗ったけがれ人について、思い当たる者が居た。

「変な機械に乗ったけがれ人とはすみれの事かな」

すみれ、誰だそれ?」

 葉月は了のつぶやきを聞き、説明を求めた。

「管理所で働いている奴で私と同じくもめ事を解決する仕事をしている。特殊兵器パワードスーツをつかってな。乗っていたのはバイクという乗り物だ」

「パワードスーツにバイク?」

 葉月はすみれが使う機械知らないため、首を傾げる。了は機械でできた鎧と自転車に似た機械と説明した。それを聞いて葉月は納得した。

「そうか。頼もしいな」

 そんな言葉を了は首を振り否定する。

すみれは。常識外の事は嫌いで、夢幻界を荒らす者を絶対に許さない奴だ。荒らした者に対してやり過ぎた罰を与える。ほんとは良い奴だけどな」

 了は友人に対して、少し言い過ぎたかも知れないと思ったが、以前起きた事件を解決する際、必要以上に殴る蹴るなどの手荒な真似を菫は行った。平和を守るため必要以上の暴力を振るう。菫は過激な平和主義者だった。

「そんな人が月の都に……」

 月兎は話を聞き怯える。そんな月兎達に了は何とかすると安心させた。

「だがな、エルカードの事もあるからな、盗んで来いと命じたお方とやらに文句ぐらいは言わせてもらうぜ」

 そして月に連れて行けと月兎に言う。月兎は少し考え月の事を思い、了と葉月を月に送ることにした。
エネルギーの問題は葉月の霊力がエネルギーの代わりになった。二人は月兎から光る玉を受け取り使い方を教わり、起動させた。二人は光に包まれた。

 ――――

 ―――月
 二人は気がつくと四角い壁に囲まれた中華風の古都の大通りにいた。塀や壁は朱と白で美しく彩られていた。道を舗装しているのはコンクリートでは無く大理石。道の脇に木々が生えており、美しい金銀の美しい果物らしきものがなっていた。
 しかしそれだけであった。都は不思議と明るかったが余りにも静かで、住む者の気配が感じられなかった。都《みやこ》は静寂せいじゅくに包まれていのだ。

 了は本当に月に来たのかと空を見上げる。しかし 空には星々が無かった。ここが月ならば、地球という星や輝く星が見えるハズである。

「ここは本当に月の都なのか?」

そんな疑問が了の脳裏によぎる。そんな量の隣にいる葉月はボーっとしていた。何かあったのかと思い、葉月に声をかける了。

「おい、葉月どうした」

「い、いやなんでもない」

 了の言葉に葉月はハッとした。自分が月にいる事が信じられなかったのだ。夜空に輝くあの月に。了は葉月にどう行動するか話す。

「葉月、とりあえず二手に分かれよう。ここは意外にも広い。1時間経ったらここに戻ろう」

「わかった」

「それにエルカード及び菫を発見したら連れて戻ってくること。いいな」

「ああ」

「じゃ行くか」

二人は都を駆けた。
――――

 葉月は都の壁沿いを走っていた。
 しかしここが月だなんてな。
 走りながら思いを巡らせていた。幼いころから空にあった月、そこにいるのだ。そう考え少し笑みを浮かべた。その時、

「ぎゃああああああ」

 誰かの悲鳴が聞こえた。何事かと思い、声がした方に急いだ。悲鳴がした場所にたどり着くとそこには、月兎らしき者が見たことない近未来的デザインの白色の機械鎧(パワードスーツ)を全身に着た者にいたぶられている場面だった。その近くには自転車に似た機械(バイク)があった。

「おい、お前何している!!」

 葉月は臆せず話しかける。パワードスーツを着た者は葉月の方に振き相手をする。

「何だお前、月の者じゃねーな」

 年若い女の声であった。葉月は相手が正体不明の怪物でない事に安心した。

「私は管理所からの命で夢幻のまちから来た、封魔の者だ」

「そーかい遠路はるばるご苦労さん」

 そう言い茶化す。葉月はスーツによって顔が確認できないが一応、菫かどうか確認する。

「お前、もしやすみれか、特殊兵器を使う」

「そうだけど、お前誰よ?」

 菫であることを確認し、今何をしているか尋ねた。葉月は襲われている月兎を見る。
 月兎の口からは大量の血と歯の欠片が出ていた。足には蹴られたあとが青くなって残っている。

「何って、殴ってんだよこいつらきもいし」

「!?」

「だってよ、こいつら月の奴らは私たちの事を最も穢れた地に住まう穢れ人て見下しているんでね。そんな奴らが月にいて、私たちはそれを見ていた何てぞっとするぜ」

 菫は月兎を蹴る。月兎は悲痛の声を漏らす。月兎の顔は恐怖と血と涙が混じっていた。

「しかもこいつから襲いに来たんだぜ、穢れ人めーってね。さらにこいつが盗んだ犯人だと言う。殴る蹴る権利はあるね」

 更に月兎を踏みつける。月兎は痛みによって叫ぶ。

「ぎゃあああああああ!!」

「やめろッ!」

 月兎への余りにもやり過ぎた暴行を見て思わず、声をかける。しかし止めようとした葉月に対し、何を言っているんだと言った反応をした。

「止めろだと、封魔は魔物に恨みある奴だろう? 一緒にこいつを退治しようぜ」

 葉月は封魔と呼ばれ、言葉に詰まる。

「助けて…… 助けて……」

 月兎は葉月を見て何度も懇願する。菫はそれを見て助けるわけないとささやく。

「なあ、どうする?」

「私は……」

 月兎を見る。そして脳裏に了の言葉がよぎる。

 一度くらいは助けたらどうだ。

 葉月の沈黙に菫は苛立ち、威圧的に問いかける。

「どうすんだよ」

「……だけ」
 葉月はか細く答え、菫が再び問いかける。

「なんつった?」
 それに対し葉月は大声で叫び答える。

「一度だけだッ!」

「あ~?」

 葉月の答えに菫は怪訝な顔になる。葉月は月兎に向かい叫ぶ。

「一度だけッ助けてやるッ」

 言葉と共に葉月は菫に上段斬りを仕掛けた。

「クソッ」
 菫は悪態をつき、月兎を放置し後方へジャンプし回避する。刀は当たらずくうを裂いた。葉月の行動に菫は怒り声を荒げる。

「何なんだテメェはよ!!」

「うるせーうるせー!!」

 葉月は月兎に向かって逃げろと指示した。月兎は感謝の言葉をかけ、遠くへ逃げた。場には葉月と菫だけになった。菫は話しかける

「なあテメェ、封魔の者なんだろなぜ逃がした」

「わけがある」

「わけね…… フンッ封魔の奴らは哀れでおかしいやつらだからな、それでか」

 菫の挑発的な発言は葉月をイラつかせた。

「だってそうだろ、不確かな妖怪なんて存在と戦っている何て、傍から見たら滑稽だぜ」

「貴様ァ」

「で今は仲良しこよしなんて、可笑しいよな」

「私は違う!妖怪なんて滅べばいい!!」

 力強く否定するが、菫に馬鹿にされるように否定される。

「でも今助けたァ」

「グググ」

 葉月は歯噛みした。菫の挑発は続く。

「封魔は家族などを殺された者たちが、殆どなんだろ。死んだ奴らが報われないよな」

「それ以上言うなッー!!」

 攻撃を仕掛けるも菫はそれを避ける。そして葉月から離れ再び話しかけた。

「お前、妖怪はどんな存在だと考えてるか、もう一度教えてくれよ」

「いらない奴らだッ!!」

 怒りを含め答える。菫は笑い、言葉を発する。

「だったら、いらない奴らに殺された奴は、大したことない存在てことだよなァ」

 葉月はこの言葉で激怒した。

「オオオオオオ」

 雄叫びを上げ、菫に向かい駆ける。それは菫がが想定した速さより上であった。

「クソッ!」

「デャアアアア」

 菫の体を斜め右に斬る。ギャンという音と火花が散った。鎧は切断までいかなかったが大きな斬り傷ができた。パワードスーツが傷つかないと思っていたため菫は驚愕した。
「嘘だろ!?」

「まだだっ!」

 装甲が薄い関節部分を狙い斬ろうとする。その時。

〔オートモード〕

 謎の音声共に菫が葉月の間合いから遠くへ一人でに吹っ飛んだ。菫は急な動きによって発生した衝撃によってダメージを負う。それにより一瞬だけ動きが止まる。

「何だ今のは!?」

 葉月は菫の行動に頭が冷え、警戒しつつ刀を向ける。

「クソックソ」

 菫は内心悪態をつく。

 (本来なら逆上させて隙を作り一撃で終わらせるつもりだったが、考えがあまかったな)

 立ち上がり腕につけてあるタッチパネルを操作する。そして音と共にバイクが菫に向かい自動でやって来た。そしてバイクに設置されているブレードを取り出し、地面を斬りつけ、葉月を見る。

「さっきまでは、気絶程度許してやったが……潰してやる」

 菫は葉月に対して明確な殺意をぶつけた。
(私にはパワードスーツの特殊機能の自動回避機能がある。いくら相手が封魔であろうとな)
 彼女は勝利を確信した。

 葉月は刀を構えつつジリジリと距離を詰める。菫も葉月に向かい歩を進める。やがて両者の間合いに入った。

「チィ!」

 刀を先に振りかざしたのは葉月だ。あまりの速さで菫は対処できない。そう菫は。

〔オートモード〕

 菫の鎧は菫の体を急速に動かし、紙一重で避ける。

「グギャアッ」

 機能によるダメージを受けたが、菫は葉月の隙を作った。そして逃さず葉月にブレードを叩き付けた。パワードスーツもあって人間以上の力が出せる。普通の人間なら一刀両断だ。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

【完結】伴侶がいるので、溺愛ご遠慮いたします

  *  
BL
3歳のノィユが、カビの生えてないご飯を求めて結ばれることになったのは、北の最果ての領主のおじいちゃん……え、おじいちゃん……!? しあわせの絶頂にいるのを知らない王子たちが吃驚して憐れんで溺愛してくれそうなのですが、結構です! めちゃくちゃかっこよくて可愛い伴侶がいますので! 本編完結しました! 時々おまけを更新しています。

転生墓守は伝説騎士団の後継者

深田くれと
ファンタジー
 歴代最高の墓守のロアが圧倒的な力で無双する物語。

辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~

雪月 夜狐
ファンタジー
壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。 辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。 しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。 他作品の詳細はこちら: 『転生特典:錬金術師スキルを習得しました!』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/906915890】 『テイマーのんびり生活!スライムと始めるVRMMOスローライフ』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/515916186】 『ゆるり冒険VR日和 ~のんびり異世界と現実のあいだで~』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/166917524】

【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?

アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。 泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。 16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。 マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。 あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に… もう…我慢しなくても良いですよね? この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。 前作の登場人物達も多数登場する予定です。 マーテルリアのイラストを変更致しました。

病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない

月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。 人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。 2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事) 。 誰も俺に気付いてはくれない。そう。 2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。 もう、全部どうでもよく感じた。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

攻撃特化と守備特化、無敵の双子は矛と盾!

天眼鏡
ファンタジー
とある辺境の地で母とともに暮らす双子の姉妹。 一見、普通の女の子としか思えない二人だが……? 「どこの世界に単なる貧乏ゆすりで地震を起こす餓鬼がいるんだよ!!」 「何で崩落に巻き込まれておいて身体どころか髪や服にすら傷一つ無いのよ!!」 そう、残念ながら彼女たちは普通ではなかった。 これは、攻撃に特化しすぎている為に異常なほど魔法が効きすぎてしまう脳筋な姉と。 守備に特化しすぎている為にナイフやフォークより重い物は全く持てない馬鹿真面目な妹の。 ほんのり姉妹百合風味なドタバタ冒険譚である。

婚約破棄された検品令嬢ですが、冷酷辺境伯の子を身籠りました。 でも本当はお優しい方で毎日幸せです

青空あかな
恋愛
旧題:「荷物検査など誰でもできる」と婚約破棄された検品令嬢ですが、極悪非道な辺境伯の子を身籠りました。でも本当はお優しい方で毎日心が癒されています チェック男爵家長女のキュリティは、貴重な闇魔法の解呪師として王宮で荷物検査の仕事をしていた。 しかし、ある日突然婚約破棄されてしまう。 婚約者である伯爵家嫡男から、キュリティの義妹が好きになったと言われたのだ。 さらには、婚約者の権力によって検査係の仕事まで義妹に奪われる。 失意の中、キュリティは辺境へ向かうと、極悪非道と噂される辺境伯が魔法実験を行っていた。 目立たず通り過ぎようとしたが、魔法事故が起きて辺境伯の子を身ごもってしまう。 二人は形式上の夫婦となるが、辺境伯は存外優しい人でキュリティは温かい日々に心を癒されていく。 一方、義妹は仕事でミスばかり。 闇魔法を解呪することはおろか見破ることさえできない。 挙句の果てには、闇魔法に呪われた荷物を王宮内に入れてしまう――。 ※おかげさまでHOTランキング1位になりました! ありがとうございます! ※ノベマ!様で短編版を掲載中でございます。

処理中です...