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第四話 剣と被害者
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―――5年前の秋
冬の到来が間近であると感じさせる枯れ葉が舞う夕暮れの寒空の下、家に向かって少女がニコニコと歩いていた。
名は葉月という。友達との遊びから帰る途中だ。遊び疲れから足取りは緩やかである。
「楽しかったな」
鬼ごっこ、かくれんぼ、ままごと、今日のことを振り返りそうつぶやく。
「今、私は幸せなんだろうなぁ」
ふと立ち止まりそんな風に考えた。この世界は「夢幻界」と呼ばれ妖怪や狂人、災害が襲ってくる。そのため家族や親しき友人を亡くす者が多くいる。その上、今妖怪の行動が活発になっており、そのせいで多くの人命が失われている。
そんな中、葉月には家族がいて、生きている。帰る家がある。それはとても幸せなことだ。葉月は家族のことを考えてたら寂しくなり、立ち止まるの止めて向かい風が吹く道を走った。
もうすぐ葉月にとって長い冬がやってくる―――
現在の夜中、了は買ったばかりの布団に包まれながら幸せそうに眠っていた。しかし、
ドンッドンッドンッ
夜中の突然の訪問者にたたき起こされた。了は何なんだ、こんな時間によと苛立ち頭をかきながらも起き上がって扉を開ける。
「助けて……」
扉を開けると、猫耳を生やし、洋服にマフラーを纏った黒髪でボブカットの女性が、背から血を流し助けを求めていた。了は驚愕し、「おいどうした!!」と尋ねる。すると相手は「何者かに襲われて」、と答えた。そんな夜中の訪問者は人が居た安心感からか気を失ってしまった。
「何なんだ?」
了は突然の出来事にただ困惑しながらも、傷の手当てを行った。
―――朝
「ここは…… どこ?」
了の家に来た女は窓から入ってくる日差しと鳥のさえずりによって目を覚まし、どこだここはと思いながら、自分の身を確認した。
そして体に包帯が巻かれているのに気がつき、誰かに助けられたことを知った。すると、
「おっ気が付いたか」
「わあッ!?」
窓から了が顔出し女に声をかけた。女は驚いて声を上げた。
「おっと驚かしてすまん、辺りを監視していたんだ」
そう言うと顔ひっこめ、扉から入った。入ってきた了の目にはくまができていた。了は女を治療して、夜通し警護していたのだ。了は女の前に座り話しかける。
「いやー怪我人が急に現れて驚いたぜ」
「あんたが私を助けてくれたのか?」
女は自身にまかれた包帯を見ながら尋ねる。
「そうだ。その調子じゃ大丈夫そうかな、私は名は了。あんたは?」
座布団を敷いて座り挨拶をする彼女。それにつられ女も述べる。
「私はムク。獣人だ。助けてくれて本当にありがとう……」
命の恩人に心からの感謝を伝えた。それに照れて顔赤くする了。
そんな了は感謝された恥ずかしさからか話を変える。
「えっとあっ! 手当てするときケモノ耳が生えていて驚いたよ」
「うふふ、魔物だもん」
ムクは了が驚いたと知り 魔物としてつい嬉しくなった。魔物は人を驚かしたり恐怖させたりすることで、力を得る存在だからだ。
ニコニコ笑顔でマフラーを触りながら話すムク。
了はそれを聞きなるほどと答えて、怪我のワケを尋ねた。
「しかしなぜ怪我をしてたんだ? 何かあったのか」
「ああ、そうだ。昨日誰かに斬り付けられたんだ」
思い出し背に手を当てるムク。
眠りから目覚め彼女はすっかり忘れていた。ムクの言葉を聞いた了は険しい目に変わる。
「何、詳しく教えてくれないか」
「私は普段人の街で働いているんだ。仕事が終わり呉服屋の店員の友人と会ったりして、その後、家に帰ろうと暗闇の森に通じる道を歩いていたんだ。すると急に鋭い痛みが背中に走ってふりむいたら……」
昨日の事を思い出しムクは恐怖で体が震えた。了は無理しなくてもいいと言うが、彼女は話を続ける。
「鬼の仮面で顔を隠し刀を持った奴がいたんだ。魔物の力は感じられなかった。たぶん人だと思う」
話を了は黙って聞き、犯人の正体を考える。
「何とか反撃しようとしたけど……ソイツ強くてさ。また斬られて、痛みで気絶したんだ」
その後、夜に目覚め意識が朦朧としながら助けを求め、了の家についた。話を聞いた了はムクに、襲われた心当たりはあるか尋ねる
「大変だったなそれは、しかし人に斬り付けられるなんて人を傷つけたり、襲ったりしたか?」
「そんなことしてない!」
しかしムクは了の言葉を強く否定した。
「街で働いている時や、買い物するときは脅かさない様マフラーで首を隠している。あんただって知っているだろ、人の街で働けたり住めたりできる魔物は善良な奴だけだって……」
ムクの言葉を聞いた了は、それもそうだと肯定する。ムクが語ったことは誰もが知っていることだった。
「そりゃ私も魔物だし人を驚かしたりするけど、傷つけたり、ましてや殺めたりしないよ」
自分が襲われたことに彼女は疑問の念が大きくうなだれた。
「……そうか、ところで体の調子はどうだ。妖怪だろう、傷もう治ったんじゃないか」
了に言われ、傷に手をあてる。彼女の体に鋭い痛みが走った。そして声を上げて困惑した。
「あれなんで! 妖怪なのに!?」
妖怪は人と違い回復力の差が違う。人にとって重症でも妖怪であれば2日もあれば全快する。だが傷はそれ以前に血がにじみ出ていた。それを知った了は少し考え口を開く。
「犯人の目星がついたかも知れない……」
「なんだって!」
ムクは誰なんだとまくし立てる。そんなムクに了は犯人は『封魔』の者だと告げた。それを聞き、彼女は恐怖で青ざめた。
「…… そんな、私は何もしていない。第一に封魔は解散したはずだろう」
「ムクの治らない傷。妖怪に対してそんな風にできるのは、霊力を操る封魔の者だ。犯人が人だと考慮してだした考えだ」
『封魔』とは
妖怪と人間の争いにおいて人間を守るために設立された組織で霊力と呼ばれる力を持ちいて戦う。
霊力は人外や妖怪にとって弱点で、霊力を帯びた武器で攻撃されると人以上に傷つく。
そんな封魔は夢幻界に『大災害』が起きて人間と妖怪の争いが終結。人間と妖怪が和解したため解散となった。
「しかしなぜ封魔はお前を襲ったんだ。封魔は良い妖怪を退治しないと聞いているが」
了が考え込んでいる中、ムクはある考えを口に出した。
「決めた。襲った人と会って話をする。なんでそんなことをしたのかを聞く」
「何言ってんだ!? 命が狙われたんだぞ!」
彼女はその言葉を聞き困惑した。マフラーに刺し傷があった。もし手当てしなければ死んでいただろう。
しかしムクは覚悟の言葉を語る。
「それでも、何もしてないのに襲われたんだ。人里と関わりを持つ妖怪が今後狙われるかも知れない。私の友人も街で働いている。だから襲った人とあって話がしたい」
「死ぬかも知れないぞ……」
「それでも」
ムクの覚悟の言葉を聞いて、了は手を組んで考えて口を開いた
「そうかなら、私にも手伝わせてくれ」
会ったばかりの了の言葉に戸惑うムク。
「私を助けても何もならないよ。それに命を助けてもらった了に危険な目に合わせるのは……」
「ムクみたいな良い奴をほおっておけないよ。それに傷も治っていないだろ、だから手伝わせてくれ」
「でも……」
「頼むよ」
了の言葉に少し考え込み、ムクこちらこそ頼むと承諾。その言葉に了は感謝した。話を終えてムクはあることに気がつき、ハッとしてしまう。
「そう言えば襲った人にどうやって会えばいいんだ?」
「それについていい考えがある。任せておけ」
作戦内容を話す了。それを聞いたムクは不安になった。
「いけるかなぁ?」
「大丈夫でしょ、作戦は明日行う。薬でも塗って明日に備えるぞ」
「わかった」
「私は寝る」
了はムクに塗り薬を渡し、疲れから横になって寝た。
冬の到来が間近であると感じさせる枯れ葉が舞う夕暮れの寒空の下、家に向かって少女がニコニコと歩いていた。
名は葉月という。友達との遊びから帰る途中だ。遊び疲れから足取りは緩やかである。
「楽しかったな」
鬼ごっこ、かくれんぼ、ままごと、今日のことを振り返りそうつぶやく。
「今、私は幸せなんだろうなぁ」
ふと立ち止まりそんな風に考えた。この世界は「夢幻界」と呼ばれ妖怪や狂人、災害が襲ってくる。そのため家族や親しき友人を亡くす者が多くいる。その上、今妖怪の行動が活発になっており、そのせいで多くの人命が失われている。
そんな中、葉月には家族がいて、生きている。帰る家がある。それはとても幸せなことだ。葉月は家族のことを考えてたら寂しくなり、立ち止まるの止めて向かい風が吹く道を走った。
もうすぐ葉月にとって長い冬がやってくる―――
現在の夜中、了は買ったばかりの布団に包まれながら幸せそうに眠っていた。しかし、
ドンッドンッドンッ
夜中の突然の訪問者にたたき起こされた。了は何なんだ、こんな時間によと苛立ち頭をかきながらも起き上がって扉を開ける。
「助けて……」
扉を開けると、猫耳を生やし、洋服にマフラーを纏った黒髪でボブカットの女性が、背から血を流し助けを求めていた。了は驚愕し、「おいどうした!!」と尋ねる。すると相手は「何者かに襲われて」、と答えた。そんな夜中の訪問者は人が居た安心感からか気を失ってしまった。
「何なんだ?」
了は突然の出来事にただ困惑しながらも、傷の手当てを行った。
―――朝
「ここは…… どこ?」
了の家に来た女は窓から入ってくる日差しと鳥のさえずりによって目を覚まし、どこだここはと思いながら、自分の身を確認した。
そして体に包帯が巻かれているのに気がつき、誰かに助けられたことを知った。すると、
「おっ気が付いたか」
「わあッ!?」
窓から了が顔出し女に声をかけた。女は驚いて声を上げた。
「おっと驚かしてすまん、辺りを監視していたんだ」
そう言うと顔ひっこめ、扉から入った。入ってきた了の目にはくまができていた。了は女を治療して、夜通し警護していたのだ。了は女の前に座り話しかける。
「いやー怪我人が急に現れて驚いたぜ」
「あんたが私を助けてくれたのか?」
女は自身にまかれた包帯を見ながら尋ねる。
「そうだ。その調子じゃ大丈夫そうかな、私は名は了。あんたは?」
座布団を敷いて座り挨拶をする彼女。それにつられ女も述べる。
「私はムク。獣人だ。助けてくれて本当にありがとう……」
命の恩人に心からの感謝を伝えた。それに照れて顔赤くする了。
そんな了は感謝された恥ずかしさからか話を変える。
「えっとあっ! 手当てするときケモノ耳が生えていて驚いたよ」
「うふふ、魔物だもん」
ムクは了が驚いたと知り 魔物としてつい嬉しくなった。魔物は人を驚かしたり恐怖させたりすることで、力を得る存在だからだ。
ニコニコ笑顔でマフラーを触りながら話すムク。
了はそれを聞きなるほどと答えて、怪我のワケを尋ねた。
「しかしなぜ怪我をしてたんだ? 何かあったのか」
「ああ、そうだ。昨日誰かに斬り付けられたんだ」
思い出し背に手を当てるムク。
眠りから目覚め彼女はすっかり忘れていた。ムクの言葉を聞いた了は険しい目に変わる。
「何、詳しく教えてくれないか」
「私は普段人の街で働いているんだ。仕事が終わり呉服屋の店員の友人と会ったりして、その後、家に帰ろうと暗闇の森に通じる道を歩いていたんだ。すると急に鋭い痛みが背中に走ってふりむいたら……」
昨日の事を思い出しムクは恐怖で体が震えた。了は無理しなくてもいいと言うが、彼女は話を続ける。
「鬼の仮面で顔を隠し刀を持った奴がいたんだ。魔物の力は感じられなかった。たぶん人だと思う」
話を了は黙って聞き、犯人の正体を考える。
「何とか反撃しようとしたけど……ソイツ強くてさ。また斬られて、痛みで気絶したんだ」
その後、夜に目覚め意識が朦朧としながら助けを求め、了の家についた。話を聞いた了はムクに、襲われた心当たりはあるか尋ねる
「大変だったなそれは、しかし人に斬り付けられるなんて人を傷つけたり、襲ったりしたか?」
「そんなことしてない!」
しかしムクは了の言葉を強く否定した。
「街で働いている時や、買い物するときは脅かさない様マフラーで首を隠している。あんただって知っているだろ、人の街で働けたり住めたりできる魔物は善良な奴だけだって……」
ムクの言葉を聞いた了は、それもそうだと肯定する。ムクが語ったことは誰もが知っていることだった。
「そりゃ私も魔物だし人を驚かしたりするけど、傷つけたり、ましてや殺めたりしないよ」
自分が襲われたことに彼女は疑問の念が大きくうなだれた。
「……そうか、ところで体の調子はどうだ。妖怪だろう、傷もう治ったんじゃないか」
了に言われ、傷に手をあてる。彼女の体に鋭い痛みが走った。そして声を上げて困惑した。
「あれなんで! 妖怪なのに!?」
妖怪は人と違い回復力の差が違う。人にとって重症でも妖怪であれば2日もあれば全快する。だが傷はそれ以前に血がにじみ出ていた。それを知った了は少し考え口を開く。
「犯人の目星がついたかも知れない……」
「なんだって!」
ムクは誰なんだとまくし立てる。そんなムクに了は犯人は『封魔』の者だと告げた。それを聞き、彼女は恐怖で青ざめた。
「…… そんな、私は何もしていない。第一に封魔は解散したはずだろう」
「ムクの治らない傷。妖怪に対してそんな風にできるのは、霊力を操る封魔の者だ。犯人が人だと考慮してだした考えだ」
『封魔』とは
妖怪と人間の争いにおいて人間を守るために設立された組織で霊力と呼ばれる力を持ちいて戦う。
霊力は人外や妖怪にとって弱点で、霊力を帯びた武器で攻撃されると人以上に傷つく。
そんな封魔は夢幻界に『大災害』が起きて人間と妖怪の争いが終結。人間と妖怪が和解したため解散となった。
「しかしなぜ封魔はお前を襲ったんだ。封魔は良い妖怪を退治しないと聞いているが」
了が考え込んでいる中、ムクはある考えを口に出した。
「決めた。襲った人と会って話をする。なんでそんなことをしたのかを聞く」
「何言ってんだ!? 命が狙われたんだぞ!」
彼女はその言葉を聞き困惑した。マフラーに刺し傷があった。もし手当てしなければ死んでいただろう。
しかしムクは覚悟の言葉を語る。
「それでも、何もしてないのに襲われたんだ。人里と関わりを持つ妖怪が今後狙われるかも知れない。私の友人も街で働いている。だから襲った人とあって話がしたい」
「死ぬかも知れないぞ……」
「それでも」
ムクの覚悟の言葉を聞いて、了は手を組んで考えて口を開いた
「そうかなら、私にも手伝わせてくれ」
会ったばかりの了の言葉に戸惑うムク。
「私を助けても何もならないよ。それに命を助けてもらった了に危険な目に合わせるのは……」
「ムクみたいな良い奴をほおっておけないよ。それに傷も治っていないだろ、だから手伝わせてくれ」
「でも……」
「頼むよ」
了の言葉に少し考え込み、ムクこちらこそ頼むと承諾。その言葉に了は感謝した。話を終えてムクはあることに気がつき、ハッとしてしまう。
「そう言えば襲った人にどうやって会えばいいんだ?」
「それについていい考えがある。任せておけ」
作戦内容を話す了。それを聞いたムクは不安になった。
「いけるかなぁ?」
「大丈夫でしょ、作戦は明日行う。薬でも塗って明日に備えるぞ」
「わかった」
「私は寝る」
了はムクに塗り薬を渡し、疲れから横になって寝た。
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