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② 情けは人のためならず
しおりを挟む「さくら。知り合い?」 パパに尋ねられて、
「うん。サラダっていうの。
すごく ものしりな ペンギンさんなんだよー」
そう答えながら、サラダに問いかける。
「サラダ! 出てきちゃってよかったの?
スガタ、大人に 見られちゃ マズいんじゃなかった?」
「アチャー! 忘れてたペン!」
言われて はじめて気づいたとばかりに、額にフリッパーを当てて 血相を変えるサラダ。
ちなみに フリッパーとは、ペンギンの体の横についている翼のこと。
「まだ、間に合うペン?」 チラチラと こちらを うかがい見るサラダに
「もう 遅い! バッチリ見られちゃってるよ」
現実を 突きつける。
「そう…ペン…よねー…」
サラダは、ガックリと 肩を落とし おちこむ。
かと思いきや
「もう終わったことは、クヨクヨしても 仕方ないペン!」 ひらきなおりは、意外と早かった。
「【情けは人のためならず】 っということわざは…」 、
いつものように 湯水の如く 説明し始める。
「正しくは、人に【情け】、手助けなどの良い行いをすると、巡りめぐって 自分にも【幸せ】 良いことが起こる っていう意味だペン。
情けをかけると、その人のためにならないから やらないほうがよい と間違えて覚えてしまう人が多いペン
同じような意味に、【善意善果(ぜんいぜんか)】や【因果応報(いんがおうほう)】という言葉があるから、それも一緒に覚えると良いかもしれないペンね」 と、しめくくる。
話を聞き終えた時 青ざめたのは、今度はパパだった。
「さくら、ごめんよー」 あやまりながら すがりついてくる。
「だ、大丈夫!…パパに悪気ないのわかってるから」
そんなパパを なぐさめつつ、
「ほらっ! それより会社、遅刻しちゃうよ‼
会議なんでしょ‼ 」 そう言って、パパをせきたてろ。
この後、ひととおり説明を終えたサラダは、
「じゃあ またねペン」 と、何事もなかったように 姿を消し、
後に残された パパとあたし。
急いで家を出て 幼稚園へと 足を向けた。
もちろん、あたしを送るためである。
しかし、サラダのおかげというか、正しいことだったのかもしれないけれど… 親切がアダとなる というか…
父親のいげんを失った というか、面目を完全につぶされてしまったパパは、あれから うっとうしいくらいに あやまりっぱなしだった。
++++++++++++++
幼稚園に着いて、しばらく 一人で お絵描きをしていた。
あたしは、家の事情(ママが死んじゃてて、パパだけなこと)のため 【みんなより早く登園したかった】
それを知った先生たちの親切によって、あたしは他の子たちより 早くに幼稚園に来ることを 許されていた。
だから あたしは、先生たちに迷惑をかけないように
毎日 この時間は、おとなしく お絵描きをして過ごすと 決めていた。
それに、もうすぐ 一番のお友だちである【ひなちゃん(佐々木 ひなた)】 が、幼稚園にやって来るはず なのだ。
ひなちゃんは、早い時間から あたしが幼稚園に来ていることを知って、いつも一番 (まぁ、正確にはあたしがいるから二番目だけど) に登園してっくれている。
『もうすぐ 会える』
『今日は何して遊ぼううかなー』
なんて 胸をワクワクさせていると
「おはようございまーす」
元気に先生たちに あいさつをする ひなちゃんの声が聞こえてきた。
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