あわてんぼう パパ

hanahui2021.6.1

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① はじめまして

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あたしは、藤堂 さくら。
  あおぞら幼稚園に通う 年長さんで 5さいよ。
全然 覚えてないんだけど、あたしが まだ小さかった頃に ママは病気で 死んじゃったんだって。
だから 今は、パパと二人ぐらし。
パパが、お仕事終わって 迎えにくるまで、近くにすんでいるおばあちゃん家で おりこうさんに 待ってるんだー。
 肩まである 真っ黒なストレートの髪を、ゆらゆら 横にゆらした。 いわゆる 【おかっぱ髪】というヤツだ。

++++++++++++++

『あっ!イケナイ。もう、こんな時間!
パパのこと、起こさなきゃ‼』
あたしは、ベッドの部屋に 急いだ。
「パパ おはようー」 
ドアを開き、元気よく パパに声をかける。
「お、おはよう。もう、そんな時間ー…」 
ゴニョゴニョと 何か言ったと思ったら
「あと もう少しー…」 パパは再び 枕に、顔を突っ伏した。
「あっ!ダメだよ‼ …起きてー‼」
あたしは、あわてて ベッドにかけより、パパの肩をゆする。
「ねぇ、起きて! 起きてってば‼」
いつしか、【ゆする】程度だったものが 変化して、ベシベシ 強く 体を 叩いていた。
「さくら、おはよう~」  それが 功をそううしたのか?
やっと パパが 体を起こした。
目をこすりながら、のっそりとベッドの上で あぐらをかく。。
そのまま数秒、ベッドの上で ボーとしていたパパだったが…
「さぁー! ご飯にしよう!」 
はずみをつけて ベッドから立ち上がると、さっさと 部屋から出ていってしまった。
「あっ!待ってよー」 
その後を追いかけながら、あたしも続いて 部屋をあとにする。

++++++++++++++

「もぉー‼ なんで昨日のうちに 用意しておかないかなー?」
数分後。
玄関で、ゆっくりとクツをはきながら、あたしは可愛げなく 言い捨てていた。
ことの発端は、ついさっき。
家を出るために 二人して、玄関までたどりついた時。
「あっ、マズい!今朝 会議なんだった‼ 書類…書類‼」
そう叫び あわてて、書斎にかけ戻るパパ。
その後ろ姿に投げた あたしの呆れた声だった。
ママが不在のあたしは、幼稚園の好意により 通常より早めに預けられることになっていた。
そんなわけで、あたしとパパは、一緒に出かけなければならないわけだが。
そのパパが、この有り様なわけである。
『あーーもう!……まったく…‼』
玄関ドアによりかかり、腕組みして パパを待った…
ほどなく…
「ごめん、ごめん… 」 あやまりながら、パパは玄関に戻ってきた。
「もぉー! 遅刻しちゃうよ!
なんで? 昨日のうちに 用意しておかなかったのよ‼」
あたしが、ぶつぶつ 文句を言っていると、
「さくら!知ってるかい?」 パパが真面目な顔をして
「ことわざに 【情けは人のためならず】 って言葉があってねー」と言い出した。
「なに、ソレっ⁉」 疑いの目を向けながらも、耳をかたむけていると
「【情け】、かわいそうと思って、忠告してあげてると、
その人が その行いによって受けるはずだった不利益、いわゆる痛い目にあわないで 済んでしまうから、結果的にその人のためにならない。
だから本当に その人を思うなら、あえて あまり注意しないほうが良いんだよー」 と、あたしに説明した。
その時。モクモク…モク…
 辺りが 変なけむりに包まれたと思ったら
ポヨン!!!!!!
その中から、赤い…ペンギンが 姿を現した。
「それは、違うペン。
パパさん、間違って教えちゃ いけないペンよ!」
声を聞いて、誰なのか…思い出した。
「もしかして? サラダなの?」 おそるおそる たずねると
「そうペンよ」 アッサリと答え


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