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きいろのカッパに、赤い長くつ。
それに、赤のポシェット。
これは、おかあさんがおとさないようにって、おかねをいれてくれたものです。
それをさげると、とたんに、あこがれの【りっぱなおねえさん】になれたみたいで、すごくうれしくなりました。

「いってきまーす!!」 
大きなこえで、げんきにいえをとびだしました。
いっぽあるくごとに、おねえさんすうちが上がるような気がして、うれししくて、うれしくてたまりません。

もんのところでカエルにあいました

「カエルさん、おはよう」
あいさつしたのに、カエルはしらんぷり。
水たまりをスイスイと、およいでいってしまいました。
「カエルさんひどい」
カエルを見おくりながら、きぶんてんかん。
また、げんきにあるき出しました

いえを出てしばらくいくと、大きな水たまりがありました。
でこぼこが多くて、いつもころびそうになるばしょです。
さっきの雨で、水たまりへとへんかしたのです。
水たまりはとても大きくて、ほどうだけでなく、車かとおるばしょにまで広がっていました。

ことりは、そろり、そろり…にんじゃのようにあるくことにしました。
ふつうにあるいたら、長くつの中に水が入ってきてしまいそうなほどにふかいのです。

そろり…
そろり…
ことりは、しんちょうに足をすすめます。
そろーり…そろり…
もうちょっとで、水たまりからぬけ出られそうなとき

【バッシャーン!!】

トラックがいきおいよく、よこをとおりぬけ、水をはねあげていきました。 

ことりのどりょくは、水のあわ。

あっというまに、ズブぬれになってしまいました。
きょう、おかあさんからもらったばかりのくまのカッパも、どろんこです。

せっかくの【おねえさんきぶん】もだいなし。
はりきっていたきもちは、いつしかしょんぼりしたものへと、かわっていました。
このまま、いえにかえりたいきぶんです。

でも、おかあさんにかってくるって、じぶんでいいはったのです。
それをやぶったら、りっぱなおねえさんには、なれません。
ことりは、ちょっとなきそうになったかおを上げ、ふたたびあるき出しました。  

はをくいしばり、もくもくあるいて…

やっと、おみせにたどりつきました。
おみせには、たくさんのしなものがならんでいます。この中から、おめあてのパンをさがすのはたいへんそうです。

『どうしようー』
こころぼそくて、また、なみだが目のふちにあつまってきます。
しばらくかんがえていると、とつぜん、ひらめきました。
それは、いつもおかあさんとまわるようにあるいてみること。
とりあえず、そのとおりにしてみると…

しばらくあるいたところで、なんなくパンをみつけることができたのです。
ホッとして、手に入れたパンをもって、レジにむかいました。

そこでは、レジのおにいさんがこまりはてていました。
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