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⑥ やっと もどれたケド…もう一波乱アリ⁉︎
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しばらく…動けないくらいに痛かったソレは、とうとつに終わりをつげた。
痛みが、また ぶりかえす気がして、すぐには動き出せずにいた。
しかし、【いつまでも このままでは いけない!】と、
意を決し、自分の姿を、コワゴワと 確認する。
『………』
あっけなく…………人に戻っている。
『あれほど…思い悩んだのは、なんだったのか?』 と、
文句を言いたくなるほど 実に アッサリ…と。
まぁ、それは置いておいて…全身 ハダカだった。
よく考えたら、さっきまで ネコだったのだから、当たり前である。
しかし、パンツ一つも 身につけていないという状態は、こんなにも 心元ない、不安をかきたてるものなのだと知った。
それに、周りの空調など なんの妨げにもならなかったのだろう 痛みによると思われる汗で、全身すぶ濡れ状態になっていた。
ぼくは、よろよろと体を起こし、歩き始めたばかりの赤ん坊のように 一歩一歩 ゆっくりと足を進めるのだった。
++++++++++++++
自分の部屋にもどり、下着と 目についた洋服を身につけ、ベッドの端に、腰を下ろした。
座りながら、『フゥー』
お腹の底から、あんどの息がこぼれた。なんとなく 一区切りついたというか 心から落ちつけたのである。
ピッ!と エアコンのスイッチを入れ、
そのまま ゴロンと ベッドの中央に、体を横たえた。
『それにしても、長かったなぁ』 と、ふりかえる。
正確には、一日半ぐらいだったのだが…。
『もぅー、ネコは コリゴリだ
思ってたより、けっこうネコって ハードだよな。
それとも、人間が軟弱なのか?
ともかく…人からネコって 大変すぎる!
そこまで考えがおよんだ時…。
『じいちゃん、あのままで良いのかな』? ふと、疑問が、頭を かすめた。
『たしかに あの時は、そのままで良いって言ってたけど…
このごろ 特にいろいろ違いのわかるようになった最近は、後悔してるんじゃないのかな?
本当は、人にもどりたいけど 言い出せずにいるんじゃないかな?』そんなことを 考えはじめたら、どんどん その思いだけが、どんどん 加速していく。
ちなみに 今回の経験も それに後押ししているようだった…そして、結局
『ゼッタイに そうだよ‼
じいちゃん! やっぱり! 人にもどりたいんだ‼』
ひとりよがりな答えを、みちびき出していた。
さらに…『でも、その場合どうしたら良いんだろう?
うまく 人にもどせたとして…
もう世間的には、死んだことになってるわけだし…元の生活には もどせないよな?』
寝そべりながら そんなことまで 考えはじめていると
コンコン。
誰かが、部屋のドアを ノックした
「どうそー」 なんの気負いもなく 応答すると
「どこ行ってたのよ‼」
勢いよく扉が開かれ、鬼の形相をした母さんがそこに立っていた。わめきながら、ズンズンと 部屋に入ってくる。
その勢いに 一瞬 ギョッ!と たじろいだものの。
「母さん、おはよう」
そしらぬふりで、ゆっくりと 体を起こすと
「あれ? 言っといたのに忘れちゃったの?」
ぷぅーっと 口をふくらませて、怒ったふりをする。
「カブトムシ取りに行くから、リクんちに泊まるって 言っておいたじゃん‼」
たいそうオカンムリなので、先手を打たせてもらった。
あとで リクには、事情を話して 口裏を合わせておいてもらおう
「あら? そんなこと 言ってたかしら⁉
おかしいわね…なんで、忘れちゃったのんだろ?」
しきりに 首をかしげながら、怒りは治った…ように見えた。
「でも、何も言わずに 出ていっちゃうこと ないじゃない‼」
勘違いだったようだ。
完全には、おさまっていなかったらしい。 怒りが、再び 燃えあがる。
負けた。母さんには、かなわないや!
かといって、ネコになっていたのだから、素直に姿を現すわけにもいかなかったわけで…
「だって…めちゃくちゃ 朝早かったんだよー!
だから、みんな 起こすのためらってさー」
と、言葉をにごす。
母さんにとっては 少し 不本意かもしれないが、
これで 納得してもらうしかない。
「でも 母さんは、起こして欲しかった…」
少
わずかに むくれながら、言いきる 母さんの」背中ごしに
『ごめんなさい。でも、それはできなかったんだ…』
すんなりと 謝罪の言葉が、こぼれ落ちる。
もちろん それを、口に出すことはできなかったけれど… しっかり 心の中で あやまっておいた。
痛みが、また ぶりかえす気がして、すぐには動き出せずにいた。
しかし、【いつまでも このままでは いけない!】と、
意を決し、自分の姿を、コワゴワと 確認する。
『………』
あっけなく…………人に戻っている。
『あれほど…思い悩んだのは、なんだったのか?』 と、
文句を言いたくなるほど 実に アッサリ…と。
まぁ、それは置いておいて…全身 ハダカだった。
よく考えたら、さっきまで ネコだったのだから、当たり前である。
しかし、パンツ一つも 身につけていないという状態は、こんなにも 心元ない、不安をかきたてるものなのだと知った。
それに、周りの空調など なんの妨げにもならなかったのだろう 痛みによると思われる汗で、全身すぶ濡れ状態になっていた。
ぼくは、よろよろと体を起こし、歩き始めたばかりの赤ん坊のように 一歩一歩 ゆっくりと足を進めるのだった。
++++++++++++++
自分の部屋にもどり、下着と 目についた洋服を身につけ、ベッドの端に、腰を下ろした。
座りながら、『フゥー』
お腹の底から、あんどの息がこぼれた。なんとなく 一区切りついたというか 心から落ちつけたのである。
ピッ!と エアコンのスイッチを入れ、
そのまま ゴロンと ベッドの中央に、体を横たえた。
『それにしても、長かったなぁ』 と、ふりかえる。
正確には、一日半ぐらいだったのだが…。
『もぅー、ネコは コリゴリだ
思ってたより、けっこうネコって ハードだよな。
それとも、人間が軟弱なのか?
ともかく…人からネコって 大変すぎる!
そこまで考えがおよんだ時…。
『じいちゃん、あのままで良いのかな』? ふと、疑問が、頭を かすめた。
『たしかに あの時は、そのままで良いって言ってたけど…
このごろ 特にいろいろ違いのわかるようになった最近は、後悔してるんじゃないのかな?
本当は、人にもどりたいけど 言い出せずにいるんじゃないかな?』そんなことを 考えはじめたら、どんどん その思いだけが、どんどん 加速していく。
ちなみに 今回の経験も それに後押ししているようだった…そして、結局
『ゼッタイに そうだよ‼
じいちゃん! やっぱり! 人にもどりたいんだ‼』
ひとりよがりな答えを、みちびき出していた。
さらに…『でも、その場合どうしたら良いんだろう?
うまく 人にもどせたとして…
もう世間的には、死んだことになってるわけだし…元の生活には もどせないよな?』
寝そべりながら そんなことまで 考えはじめていると
コンコン。
誰かが、部屋のドアを ノックした
「どうそー」 なんの気負いもなく 応答すると
「どこ行ってたのよ‼」
勢いよく扉が開かれ、鬼の形相をした母さんがそこに立っていた。わめきながら、ズンズンと 部屋に入ってくる。
その勢いに 一瞬 ギョッ!と たじろいだものの。
「母さん、おはよう」
そしらぬふりで、ゆっくりと 体を起こすと
「あれ? 言っといたのに忘れちゃったの?」
ぷぅーっと 口をふくらませて、怒ったふりをする。
「カブトムシ取りに行くから、リクんちに泊まるって 言っておいたじゃん‼」
たいそうオカンムリなので、先手を打たせてもらった。
あとで リクには、事情を話して 口裏を合わせておいてもらおう
「あら? そんなこと 言ってたかしら⁉
おかしいわね…なんで、忘れちゃったのんだろ?」
しきりに 首をかしげながら、怒りは治った…ように見えた。
「でも、何も言わずに 出ていっちゃうこと ないじゃない‼」
勘違いだったようだ。
完全には、おさまっていなかったらしい。 怒りが、再び 燃えあがる。
負けた。母さんには、かなわないや!
かといって、ネコになっていたのだから、素直に姿を現すわけにもいかなかったわけで…
「だって…めちゃくちゃ 朝早かったんだよー!
だから、みんな 起こすのためらってさー」
と、言葉をにごす。
母さんにとっては 少し 不本意かもしれないが、
これで 納得してもらうしかない。
「でも 母さんは、起こして欲しかった…」
少
わずかに むくれながら、言いきる 母さんの」背中ごしに
『ごめんなさい。でも、それはできなかったんだ…』
すんなりと 謝罪の言葉が、こぼれ落ちる。
もちろん それを、口に出すことはできなかったけれど… しっかり 心の中で あやまっておいた。
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