この気難しそうな姫様をちょうど30日で落とします

26日目（ホワイトデー）

　彼女の名はラフィ。
　そして、この日は3月14日。


「今日はホワイトデーですか。まあ、私には関係のない日ですね」

「――どうぞ。クッキーです」

　スッ。


「あなたは……」
「どうも、僕です」

　そう言って、男は綺麗にラッピングされた包みを差し出しつつニコリとほほ笑んだ。


「えっと、チョコをあげた覚えはないのですが」
「いつも甘い気持ちにさせていただいているので」
「また意味不明なことを……」
「まあまあ。とにかく受け取ってください」
「ハァ、まったく仕方のない方ですね。わかりました。こうしましょう」

　スッ。

「これは……」
「チョコです。たまたま持っていたのであなたにあげます」
「しっかりラッピングされてますが」
「～～～ッ！」
「もしかして僕の行動を読んでわざわざ用意――」
「黙りなさい！ そんなわけないでしょう！ とにかくこれでおあいこです！ さあ、もう用は済んだでしょう！ お引き取りを！」
「そうですか。しからば」

　シュバッ。




「…………お口に合うといいのですが///」