上 下
1 / 30

1日目(邂逅)

しおりを挟む
 彼女の名はラフィ。
 この国の王女である。

 わけあって、今はこの広い辺境の領地を一人で治めている。


「ふぅ。今日も公務で疲れましたね。少しベランダで夜風にでも当たりましょう」


 ガチャ。


「どうも、僕です」


 そう言って、男は誰もいないはずのベランダでニコリとほほ笑んだ。


「……あの、どなたかしら?」
貴女あなたを“落とし”にきました。というわけで、僕と付き合ってください」
「嫌です。お引き取りを」
「そうですか。しからば」

 シュバッ。




「…………へ、変な人」
しおりを挟む

処理中です...