世紀末世界の過ごし方

結城 優希@毎日投稿

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プロローグ

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 時は帝国歴2985年。かつて大陸に覇を称え、瞬く間に大陸中を平定したガリウス帝国が100代続いたその歴史に幕を下ろした。

 100代目皇帝のルイス・フィン・ガリウスは決して愚帝ではなく、賢帝とも呼ばれた名君であった。しかしかの帝国を襲った災厄はその賢帝であっても対処しきることが出来ないほどに大規模なものだったのだ。

 その災厄の名は侵略者アグレッサーである。英雄にして初代皇帝、武帝ヴァイス・フィン・ガリウスの手によって大陸が平定される以前には確認されていた侵略者。

 しかし平定後に忽然と姿を消し、人々はその恐怖を忘れた。その存在の情報は帝城の禁書庫に仔細が記された書物が保管され、歴代皇帝とその側近がその存在を知るのみとなった。

 歴代の皇帝たちは備え続けてきた。再び侵略者が現れるその日に備えて……
 
 にも関わらず帝国が滅びたのは侵略者に対抗するための最後の1ピースが足りなかったからだ。

 その最後の1ピース……それは英雄の存在だ。

 ガリウス帝国は平民、貴族問わず人材の育成を続けてきた。属国の反乱を抑えるためではなく侵略者に立ち向かうために……

 それによって優秀な人材を多く揃えることが出来た。帝国の上層部の魔や武に長けた英傑たちもいる。だが、それでは足りないのだ。人ならざる物との戦いにおいて個の力というのは戦局を大きく左右する。英雄の役割はそこにある。圧倒的な力を持つ敵には圧倒的な力を持つ味方……即ち英雄を当てるしかない。

 英雄のいない帝国の末路は悲惨だ。最初こそ侵略者に対して優勢だったが将クラスジェネラルが出てきた瞬間に全てが終わった。優秀な戦士、魔道士、皇帝ルイスを含む帝国の英傑たち……全軍諸共消し飛ばされたのだ。

 これが後に"帝侵戦争"と呼ばれ、この戦いでの大敗が侵略者との戦いにおける人類の敗北を決定的なものにしたのである。

 その後の流れは単純だ。上層部を失った帝国はもはや烏合の衆。帝国は瞬く間に大陸をまとめあげる力を失っていった。帝国にはあとがなかった。だからこそまともな人間ならば全戦力を投入する。

 つまり、帝侵戦争の大敗後に勢力を誇る者は腐敗しているのだ。人類の存亡を賭けた戦いに手勢を出し渋ったのだ。まともな人間なはずがない。

 腐敗しているが力だけは持っている者たちによって各地は統治されたが、あっという間に破綻。そのタイミングで市民に反乱を起こされた。

 それによって無政府、無秩序の世界が誕生してしまったのだ。腐敗した者共を見放した各地の強者たちは己が大切なもののために戦い続けるも個人の力には限界があり、抵抗するもの達の数も徐々に数を減らしついにはいなくなってしまった。
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