必ず会いに行くから、どうか待っていて

十時(如月皐)

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「おそらく、弥生殿もその身を呪うだろう。〝もしも〟を考えては後悔するだろう。だからこそ、私は行かなければならない。あの方は私に言ってくれたのだ。大切な者達がいるのだと。その〝大切な者〟を、せめてあの方の元へ帰してあげたい。それが何もできなかった私が唯一できる、友への心だ」
 多くの場合は命が最優先だ。命が無ければ何も成しえない。だが、時として命を代償としてでもなさなければならないことがある。なぜそこまでするのか。成さなければ、人は生きながらにして死んでしまうからだ。
 多くを間違ったとしても、分かりきっているものは間違えてはならない。
「私は武衛に行く。行って、必ず弥生殿に夏川殿を帰す。止めてくれるな」
 何を犠牲にしてもそれだけは曲げられない。杜環の瞳は雄弁にそう語っていて、お付きの者はもう何を言うこともできなかった。杜環の抱くその気持ちがほんの少しでもわかってしまった時点で、もはや止める決意は脆いものとなる。彼は小さく俯き、杜環に道を譲るよう一歩身体をずらした。無言のそれに杜環はほんの少し目尻を下げる。
「ありがとう」
 その言葉にも、お付きの者は何も言わなかった。

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