必ず会いに行くから、どうか待っていて

十時(如月皐)

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「それを望むのは酷だろうか。道理に反しているだろうか。それでも光明、私はお前に最後まで見届けろと言おう。お前が心酔した者達が何を成すのか、お前が排除しようとした弥生殿がどんな道を切り開くのか。たとえ命がなくなろうとも最後までその目で見つめ続けろ。自分が見ていたものが本当に正しき姿であったのか、見えていなかったすべてが本当に悪だったのか。ここまでしたお前は、目を逸らしてはならない」
 それが多くの命を巻き込んだお前の役目だ。そう静かに告げる杜環は後ろに控えていた兵に視線を向けた。
 光明を含め、倒れている者達をこのままここに放置しておくわけにはいかない。せめて遺族の元へと願う杜環の視線に兵は頷き、すぐに荷台を用意して遺体を乗せ始めた。
 兵の手で光明の身体が持ち上げられる。その姿を見つめながら、杜環もまた立ち上がった。そして振り返る。
「あなただけがここにいるということは、弥生殿は光明の手から逃れることができたということか」
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