必ず会いに行くから、どうか待っていて

十時(如月皐)

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 雪也と周と由弦はどんな時でも対等だ。そこにあらゆる意味で上下はない。だが、蒼と両親は、どれほど仲良くともすべてが対等というわけではないのだろう。
 家族のいなかった由弦にもある程度は想像することができるのだ。自らにも血の繋がった肉親がいる湊ならば、なおさら想像するに容易いはずだ。
「もしかしたらここに居るかもって思ってたけど、そうじゃないみてぇだから雪也達が帰ってきたら探しながら庵に戻る。もしかしたら見つけられるかもしれねぇし、そうじゃなくても、いっつも夕飯の時は庵にくるんだからさ、その時に話でもしたら良いんじゃねえの? 二人ともああだこうだって想像ばっかり膨らんじゃって、余計にややこしくなってるだけかもしれねぇし、なら、話した方が一番早い。弥生なんかは悩むことも人生には必要だって言うかもしれねぇけど、俺的には無駄に悩む必要はねぇと思うんだよなー。ずっと悩んでたらしんどいだろ? どう頑張ったって、俺たちは自分以外は全員他人なんだ。血の繋がりがあろうとなかろうと、ずっと一緒に居ようといまいと、そんなの関係なく自分じゃないって意味で他人だ。なのに、言わなくてもわかるなんてことはねぇよ」
 話してみたら思っていたよりも何でもないことだった、なんてことはよくある話だ。そうでなかったとしても、一人じゃ思いつかない解決策も二人なら思いつくことだってある。何でもかんでも言えば良いというわけではないが、それでも、言わなきゃ進まないことだってあるのだ。
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