必ず会いに行くから、どうか待っていて

十時(如月皐)

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 将軍位をどうするかも重要であるが、何よりも優先すべきは己の命と地位、そして名誉だ。
「確かに、その通りかもしれませぬ。だが、どうなさるおつもりか。奴らは襲撃の度に切り殺されてなお、日に日に人数を増していると聞く。根城も不定期に変えているとかで役人共が血眼になって探しておるようだが、それでも見つからぬ。見つけたところで捕まえられる人数はほんの僅か。そして奴らはどのような拷問にかけようとも決して仲間の情報は吐きませぬ。対策という対策も取れなかったからこそ、今の惨状があるのでは?」
 特定の住居を持たず、同じ故郷、あるいは同じ道場の者達というわけでもない。彼らを繋ぐ唯一の共通点は国を想い、変えねばと願う志だけだ。形のないものを頼りに集まる彼らを衛府の者達は掴み切ることができず、今もって何もできずただ命を刈り取られているに等しい。それが、近臣とはいえ衛府の者だけが集まるこの場で有効な手をうつことができるのか?
 そんな疑いの混じる眼差しを受けているというのに、壮年の男は焦りも見せずクツリと笑った。
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