必ず会いに行くから、どうか待っていて

十時(如月皐)

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「雪也さんは今なにが起こっているのかわかっておられるようなので、ご説明いただいてもよろしいですか? 医者に罹るにも、我々には説明ができませんし」
 確かに、それもそうだろう。老主は大の医者嫌いだが、この大男がそうであるとも限らないし、呉服問屋の主である老主と共に個室の食事処を利用できるほどの財力があれば医者に罹るのも難しい話ではない。
「そうでしたね。私の考えが正しければ、こちらの方が夜中に食べられた魚に原因があると思われます」
「その魚が傷んでおったということか?」
 刺身で食べたということは生の状態だったのだろう。一般的な考えをした老主に、雪也は首を横に振って否定した。
「いいえ、変な臭いがしたり、味がおかしくなかった場合、傷んではいなかったかと。私も一度しか食べたことが無いのですが、普通のサバや秋刀魚などの魚と違って、多くを食べてはいけない魚というものがあるのです。それを教えてくれた方は、脂が違うのだと言っていました」
 脂? と皆が首を傾げる。店主も首を傾げているのを見るに、さほど有名な魚ではないのだろうか?
「脂ののった魚は大変美味です。普通の魚であれば問題はありません。ただ、体内に吸収されない脂をもつ魚がいるのです。その魚はとても美味しいのですが、多くを食べてはいけません。私は二切れ以上食べてはいけないと教わりました」
 少量であれば問題はない。だが、知らずに多くを食べてしまうとあらゆる意味で悲劇が起こる。
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