560 / 714
558 ※
しおりを挟む
「その、原因は何かまったくわからないのですが、食事をしていたら急に……出てしまったらしくて……。その時は腹痛とかもなく気が付いたら、というような感じだったようなのですが、何が起こったのかと慌てていたら腹痛も襲ってきたようで……今、大惨事です」
それは想像以上に大惨事だ。雪也にだけ聞こえるようにしていてもハッキリと言うのは憚られたのか兵衛は誤魔化してはいたが、おそらく出たのはアレだろう。
「腹痛ということは、意識はあるのですよね?」
「はい、苦しそうではありますが意識はあります。大惨事ですが」
どうやら兵衛は想像以上に混乱し慌てているらしい。その様子に優から教えてもらった食中毒や毒などの症状をあれこれと思い出しながら雪也は籠に幾つかの薬を放り込んだ。
「今のところ思いつくものが無いのですが、とにかくご本人に会わないと何もわからないので連れて行っていただけますか?」
腹痛関連の薬を籠に入れたものの、雪也には思い当たる病や毒が無い。ならば会う以外にないだろうと言う雪也に兵衛は頷き、周と由弦は慌てて立ち上がった。
「雪也が行くなら一緒に」
「そうだぜ。一人は駄目だって言っただろ」
今はどこもかしこも物騒だ。絶対に一人にならないと話し合ったばかりだろうと二人は詰め寄る。普段であればその必死さは異様であっただろうが、今の武衛ではあちこちで見られる光景であり、兵衛も不思議には思わなかった。
それは想像以上に大惨事だ。雪也にだけ聞こえるようにしていてもハッキリと言うのは憚られたのか兵衛は誤魔化してはいたが、おそらく出たのはアレだろう。
「腹痛ということは、意識はあるのですよね?」
「はい、苦しそうではありますが意識はあります。大惨事ですが」
どうやら兵衛は想像以上に混乱し慌てているらしい。その様子に優から教えてもらった食中毒や毒などの症状をあれこれと思い出しながら雪也は籠に幾つかの薬を放り込んだ。
「今のところ思いつくものが無いのですが、とにかくご本人に会わないと何もわからないので連れて行っていただけますか?」
腹痛関連の薬を籠に入れたものの、雪也には思い当たる病や毒が無い。ならば会う以外にないだろうと言う雪也に兵衛は頷き、周と由弦は慌てて立ち上がった。
「雪也が行くなら一緒に」
「そうだぜ。一人は駄目だって言っただろ」
今はどこもかしこも物騒だ。絶対に一人にならないと話し合ったばかりだろうと二人は詰め寄る。普段であればその必死さは異様であっただろうが、今の武衛ではあちこちで見られる光景であり、兵衛も不思議には思わなかった。
1
お気に入りに追加
112
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
【旧作】美貌の冒険者は、憧れの騎士の側にいたい
市川パナ
BL
優美な憧れの騎士のようになりたい。けれどいつも魔法が暴走してしまう。
魔法を制御する銀のペンダントを着けてもらったけれど、それでもコントロールできない。
そんな日々の中、勇者と名乗る少年が現れて――。
不器用な美貌の冒険者と、麗しい騎士から始まるお話。
旧タイトル「銀色ペンダントを離さない」です。
第3話から急展開していきます。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
どうやら手懐けてしまったようだ...さて、どうしよう。
彩ノ華
BL
ある日BLゲームの中に転生した俺は義弟と主人公(ヒロイン)をくっつけようと決意する。
だが、義弟からも主人公からも…ましてや攻略対象者たちからも気に入れられる始末…。
どうやら手懐けてしまったようだ…さて、どうしよう。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
今世では誰かに手を取って貰いたい
朝山みどり
BL
ノエル・レイフォードは魔力がないと言うことで、家族や使用人から蔑まれて暮らしていた。
ある日、妹のプリシラに突き飛ばされて、頭を打ち前世のことを思い出し、魔法を使えるようになった。
ただ、戦争の英雄だった前世とは持っている魔法が違っていた。
そんなある日、喧嘩した国同士で、結婚式をあげるように帝国の王妃が命令をだした。
選ばれたノエルは敵国へ旅立った。そこで待っていた男とその日のうちに婚姻した。思いがけず男は優しかった。
だが、男は翌朝、隣国との国境紛争を解決しようと家を出た。
男がいなくなった途端、ノエルは冷遇された。覚悟していたノエルは耐えられたが、とんでもないことを知らされて逃げ出した。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
消えたいと願ったら、猫になってました。
15
BL
親友に恋をした。
告げるつもりはなかったのにひょんなことからバレて、玉砕。
消えたい…そう呟いた時どこからか「おっけ〜」と呑気な声が聞こえてきて、え?と思った時には猫になっていた。
…え?
消えたいとは言ったけど猫になりたいなんて言ってません!
「大丈夫、戻る方法はあるから」
「それって?」
「それはーーー」
猫ライフ、満喫します。
こちら息抜きで書いているため、亀更新になります。
するっと終わる(かもしれない)予定です。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
ある日、木から落ちたらしい。どういう状況だったのだろうか。
水鳴諒
BL
目を覚ますとズキリと頭部が痛んだ俺は、自分が記憶喪失だと気づいた。そして風紀委員長に面倒を見てもらうことになった。(風紀委員長攻めです)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
楽な片恋
藍川 東
BL
蓮見早良(はすみ さわら)は恋をしていた。
ひとつ下の幼馴染、片桐優一朗(かたぎり ゆういちろう)に。
それは一方的で、実ることを望んでいないがゆえに、『楽な片恋』のはずだった……
早良と優一朗は、母親同士が親友ということもあり、幼馴染として育った。
ひとつ年上ということは、高校生までならばアドバンテージになる。
平々凡々な自分でも、年上の幼馴染、ということですべてに優秀な優一朗に対して兄貴ぶった優しさで接することができる。
高校三年生になった早良は、今年が最後になる『年上の幼馴染』としての立ち位置をかみしめて、その後は手の届かない存在になるであろう優一朗を、遠くから片恋していくつもりだった。
優一朗のひとことさえなければ…………
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
案外、悪役ポジも悪くない…かもです?
彩ノ華
BL
BLゲームの悪役として転生した僕はBADエンドを回避しようと日々励んでいます、、
たけど…思いのほか全然上手くいきません!
ていうか主人公も攻略対象者たちも僕に甘すぎません?
案外、悪役ポジも悪くない…かもです?
※ゆるゆる更新
※素人なので文章おかしいです!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる