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「おはよう蒼。なんか、忙しそう?」
蒼の店はそれなりに大きく、また繁盛していることもあっていつも朝は準備で忙しそうではあるが、今日はいつも以上に忙しそうであるし、どことなく店の中がゴチャゴチャとしていて纏まりがない。欲しいと思われるには見た目も大事、と口癖のように呟いて野菜たちを並べている蒼には珍しいと首を傾げながら近づけば、蒼は眉間に皺を寄せて深々とため息をついた。
「そうなんだよね~。親父が昨日の帳簿間違えててね~、このままだと大変なことになるから直してるのに、親父の奴、失敗がバレた瞬間に配達行ってくるとか言って逃げちゃってこの有様~。せめて店の中掃除するとか、野菜から土を落とすとかしてくれたらいいのに」
なるほど、蒼も帳簿に移る前に最低限の事はしたからそれなりに見えているが、それでも几帳面な蒼が細部まで拘って整えている普段と比べてしまうとゴチャゴチャしていて汚れが目立ってしまうのだろう。
帳簿をやらなければ後々困るから動けないが、それでも現状に満足できなくて苛立ちを抑えきれない。蒼の今を正確に理解して、湊は笑みを見せた。よく雪也が周たちに見せる、どこか心を安心させる微笑み。
蒼の店はそれなりに大きく、また繁盛していることもあっていつも朝は準備で忙しそうではあるが、今日はいつも以上に忙しそうであるし、どことなく店の中がゴチャゴチャとしていて纏まりがない。欲しいと思われるには見た目も大事、と口癖のように呟いて野菜たちを並べている蒼には珍しいと首を傾げながら近づけば、蒼は眉間に皺を寄せて深々とため息をついた。
「そうなんだよね~。親父が昨日の帳簿間違えててね~、このままだと大変なことになるから直してるのに、親父の奴、失敗がバレた瞬間に配達行ってくるとか言って逃げちゃってこの有様~。せめて店の中掃除するとか、野菜から土を落とすとかしてくれたらいいのに」
なるほど、蒼も帳簿に移る前に最低限の事はしたからそれなりに見えているが、それでも几帳面な蒼が細部まで拘って整えている普段と比べてしまうとゴチャゴチャしていて汚れが目立ってしまうのだろう。
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