必ず会いに行くから、どうか待っていて

十時(如月皐)

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「近頃、近臣らが襲撃されることが増えた。幾人かは捕らえて尋問しておるが、仲間が多いのか拠点となる場所を改めようと捕まえようと、一向にやつらの力を削ぐことはできなかった。むしろ、こちらの被害が増えるばかりだ。あまりに血が流れて民も不安に思っておるだろう。風の噂では、領主らも衛府を見限り、やつらに組しているとか」
 特に、織戸築と峰藤が。
 小さく零されたそれに弥生はピクリとも表情を動かすことは無かった。
「近臣が襲撃されていることは私も存じております。実際に、赤く染まった籠を見かけたこともありますから。ですが上様、噂というものは実態の掴めぬもの。情報を得るために耳を傾ける必要はあるでしょうが、それを鵜呑みにしてはなりません。噂という形で恐怖を煽り、敵を烏合の衆に落とすという戦法もありましょう」
 噂に踊らされては足元をすくわれる。それは常の芳次であれば弥生に言われずとも理解し、慎重になっているだろうに。どうやら思っていたほど芳次に心の余裕は無いのかもしれない。あるいは、それほどまでに衛府の中は深刻な状況なのか。
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