必ず会いに行くから、どうか待っていて

十時(如月皐)

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「――ッッ!?」
 急に現れた影に浩二郎たちは息を呑み、慌てて刀に手をかける。爆発と燃え盛る炎、刀の交じり合う音など静寂とは程遠かったとはいえ、浩二郎たちは影が目の前に姿を現すまで不審な音も気配も何も感じなかった。
(こいつはどちらだ……ッ)
 敵か、味方か。
「何者だ」
 衛府の役人かと思ったが、それにしては様子がおかしい。流石に隠れて何人かいるだろうが、浩二郎たちが感知できるのは目の前に立つ一人だけで、その一人も黒い頭巾を被って顔を隠しているので性別すらもわからない。得体の知れない者にカチッと刀を鳴らした時、目の前の彼が頭巾を少しずらし、口元を見せた。
「今ここで名乗ることはできないが、お前たちの敵ではないと約束しよう。人目のないところで話がしたい。お前たちを捕まえて衛府に突き出そうなどとは考えていないから安心しろ。私はお前たちの志を尊く思う味方だ」
 お前たちに力を貸そう。その言葉に浩二郎たちは顔を見合わせた。
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