必ず会いに行くから、どうか待っていて

十時(如月皐)

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「彼らのやり方は非常に過激だ。衛府の者というだけでことごとく切り捨てていけば、衛府の中にいる話の通じる者をも知らぬ間に消してしまうことになる。それは誰にとっても地獄への道になりこそすれ、決して利益にはなるまい」
 そしてその諫言を僅かでも聞く耳を持っていたなら、今の華都や武衛は違う光景が広がっていただろう。自らを正義だと、未来に理想的な国を渡すための礎となるのだと信じ切っている者の手綱を操ることは非常に難しい。多くの者が先回りして自らの願いを叶えてくれる世界に生きる光明には尚更不可能だ。しかし光明は夢見ることを止められない。
「衛府の者はすべからく怠惰で傲慢です。芳次公は勤勉実直と聞きますが、それでも近臣の手綱を握ることができていないのであれば彼らとなんら変わりはありません。対話などと生ぬるいことを言っていては時間を悪戯に消費しているに等しい。そんなことで国は変わったりしないのです」
 大きな革命には、大きな犠牲を伴うもの。それを恐れていては何も変わらない。変わらなければ、結局は革命以上の犠牲を生み出すだろう。革命を恐れ躊躇うことは、革命を起こすよりもなお罪深い。
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