必ず会いに行くから、どうか待っていて

十時(如月皐)

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「モノを深く考えるというのは、必要以上に自分の生活や時間、思考を削っているのと同じことで、繊細であればあるほど、自分に向けられた負の感情も敏感に受け取ってしまう。弥生も雪也も優しい人間で、できることも多い。でも、決して完璧な人間じゃない。そんな人間など存在しない。存在しないというのに、知らず人は完璧であれないことを責めたてる。できない部分を見て失望し、面倒くさがる。でも、言われてすぐに直せる欠点ばかりなら、この世には完璧な人間が沢山いなければならないという事実を、人はすぐに忘れてしまうものだ」
 可哀想に。できる事が多ければ多いほど、優しさを与えれば与えるほど、勝手に期待され、勝手に失望される。自分ではどうしようもないことを責められ、いつまでもできないことに面倒臭がられる。そうして身勝手に自分の正論を掲げ、高説を垂れ、打ち付けるだけ打ち付けて去って行った者達を優は幾人も見てきた。その度に、涙も流さず堅く唇を引き結んだ、弥生の姿も。
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