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「ま、その感情がどういったものであれ、弥生に向けられることが無いならどうでも良いよ。否定する気も、止める気もない。安心して良いよ」
ポンポンと頭を優しく撫でられて、その子供扱いに周は思わずムスッと口をとがらせてしまう。いつもならそういうものだと受け流し、あるいはその温もりに内心嬉しく思ったりもするが、今はどうしても心がささくれ立って、上手く受け止めることができない。
「弥生様には感謝してる。けど、それはあなたや紫呉様にも言えること。あなたを敵に回す気は無いし、その必要もない。僕が感情を向けてほしいのは、弥生様じゃない」
大好きなのだと、先程雪也は言っていた。もちろん、周も弥生たちのことは大好きで、その感情は雪也が抱いているものと同じ色をしているだろう。先程、優は弥生と雪也の関係を親子だと称した。ならば、彼らがどのように感じているかなど周にはわからないが、周が弥生たちに向ける感情は親を慕う子のそれであって、彼らから向けて欲しいものもまた、親が子を想うそれなのだろう。
もしも、もしも雪也が周に弥生たちと同じような感情を向けたなら、きっと嬉しさよりも虚しさや苦しみが襲ってくる。そんな確信が周にはあった。
ポンポンと頭を優しく撫でられて、その子供扱いに周は思わずムスッと口をとがらせてしまう。いつもならそういうものだと受け流し、あるいはその温もりに内心嬉しく思ったりもするが、今はどうしても心がささくれ立って、上手く受け止めることができない。
「弥生様には感謝してる。けど、それはあなたや紫呉様にも言えること。あなたを敵に回す気は無いし、その必要もない。僕が感情を向けてほしいのは、弥生様じゃない」
大好きなのだと、先程雪也は言っていた。もちろん、周も弥生たちのことは大好きで、その感情は雪也が抱いているものと同じ色をしているだろう。先程、優は弥生と雪也の関係を親子だと称した。ならば、彼らがどのように感じているかなど周にはわからないが、周が弥生たちに向ける感情は親を慕う子のそれであって、彼らから向けて欲しいものもまた、親が子を想うそれなのだろう。
もしも、もしも雪也が周に弥生たちと同じような感情を向けたなら、きっと嬉しさよりも虚しさや苦しみが襲ってくる。そんな確信が周にはあった。
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