必ず会いに行くから、どうか待っていて

十時(如月皐)

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「……上様は、姫宮様がお望みになるのであれば華都に帰してさしあげよと仰せられましたが」
 それは不要か、との声に出さない問いかけに、静宮は迷うことなく頷いた。そして思いをはせるように、美しい松の絵が描かれた襖を見上げる。その向こうに広がる青空を見るかのように。
「私に政は難しゅうてわかりませぬが、それでもこの国がめまぐるしいほどに動いていることは、わかっているつもりです」
 それが衛府にとって良くない動きであることも、当然に。
「春風さんは、衛府に攻め込むんは峰藤や各領と思うてはるかもしれませんが、その軍勢がどうであれ、この衛府に攻め込んでくるんは帝の軍となりましょう。峰藤の姫であった大御上さんが衛府の敵と疑われたように、帝の妹たる私も、衛府からすれば危険な存在に映るやもしれません。そのような考えは持ちませんが、それでも疑われるんは、仕方のないことやと思うています」
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