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「…………ごめん」
 少しの沈黙の後、ポツリとくぐもった声が零される。その弱々しい声に由弦は眉根を寄せた。
「別に謝る必要ねぇだろ? 俺は周に何をされたわけでもねぇし、雪也にだって駄目なことは駄目だって言ってやらないとだし。何でも従って全部を肯定するのが俺たちの役目じゃねぇだろ? 雪也もそんなこと、望んでねぇよ」
 ま、周にあんなにキレられて、驚いてはいるだろうけど。でも、何も言わないのが優しさじゃない。あそこで駄目だと、そんなことしてはいけないと言わないことは、別の形で雪也を傷つけることになる。
「強く言い過ぎたことを後悔してんなら、それだけは後で雪也に謝ったら良いと思う。でもさ、俺は周が間違ったこと言ったなんて思ってねぇよ」
 今回の件に関して、由弦は徹底して周の側に立った。周が最初に感情を露わにしたから由弦は抑えているのだろうが、それでも胸の内では沸々と怒りを溜めこんでいるのだろう。それを感じ取って、静観を決めていた湊の胸が小さく痛み、ジワリジワリと気持ちの悪いものが蠢く。
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