必ず会いに行くから、どうか待っていて

十時(如月皐)

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「雪也、大丈夫か? やっぱ無理してたんじゃないか! だから俺が行くって言ったのにッ」
「心配はわかったから、ちょいと待ちな。とりあえず、水を汲んできておくれ。周ちゃんは手拭いを持ってきてくれるかい? 雪ちゃんは熱があるからね。冷やしてやらないと」
 いつもは雪也が中心となって采配するから、雪也がいないと由弦もどう動いたら良いかわからない。心配だけが先走ってオロオロとする二人に女将が慣れた様子で指示を出してやれば、二人は弾かれるようにして動き出した。その姿をどこか冷めた目で浩二郎が見つめていたことに女将は気づいたが、雪也がこの状態である以上、事を荒立てるのは得策ではないと見ないフリをすることにして、雪也に集中することにする。
「雪ちゃん、大丈夫かい? もう庵に着いたからね」
 大丈夫、大丈夫と、未だ目を閉じている雪也に女将は繰り返す。揺れすぎて零れてしまうのではないかと思うほど勢いよく由弦が水の入った桶を持ってくれば、周が素早く持っていた手拭いを浸し、ギュっと絞った。
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