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「ゆ、雪也さん、大丈夫? 暑さにやられたのかしら」
赤子を抱いている団子屋の若女将が、雪也に負けず劣らず顔を真っ赤にしながらも片手を伸ばして雪也の頬に触れる。そしてようやく、ハッと気づいた。
「大変ッ! すごく顔色が悪いわッ。赤いし青いわよ!」
これはただ暑さで倒れたわけではないと、若女将は慌てて夫に抱いていた赤子を預け、雪也の額や首筋に手を滑らせる。その間もふぅふぅと苦しそうな呼吸を続ける雪也に、女たちは眉根を寄せるが、男達は僅かに息を荒げながら近づこうとする。無意識にだろう雪也に伸ばされた手が、次の瞬間に勢いよく叩き落された。
「あんたらは雪ちゃんに近づくんじゃないよ!」
押しのけるようにやって来た恰幅の善い団子屋の女将が、周りの男達を睨みつけながら雪也の側にしゃがみ込む。濡らした手拭いで雪也の額を拭い、それを娘である若女将に渡した。
赤子を抱いている団子屋の若女将が、雪也に負けず劣らず顔を真っ赤にしながらも片手を伸ばして雪也の頬に触れる。そしてようやく、ハッと気づいた。
「大変ッ! すごく顔色が悪いわッ。赤いし青いわよ!」
これはただ暑さで倒れたわけではないと、若女将は慌てて夫に抱いていた赤子を預け、雪也の額や首筋に手を滑らせる。その間もふぅふぅと苦しそうな呼吸を続ける雪也に、女たちは眉根を寄せるが、男達は僅かに息を荒げながら近づこうとする。無意識にだろう雪也に伸ばされた手が、次の瞬間に勢いよく叩き落された。
「あんたらは雪ちゃんに近づくんじゃないよ!」
押しのけるようにやって来た恰幅の善い団子屋の女将が、周りの男達を睨みつけながら雪也の側にしゃがみ込む。濡らした手拭いで雪也の額を拭い、それを娘である若女将に渡した。
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