必ず会いに行くから、どうか待っていて

十時(如月皐)

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「雪ちゃんが周や由弦に平凡な幸せを望んでも良いんだって思うように、弥生様たちだって雪ちゃんに対してそう思ってるだろうね。でも雪ちゃんは、それに気づいたりしないんだよ。だから何も変わらない。雪ちゃんは悩み続けるし、周はそれを知っているから心配はするし恋焦がれるけど何も言おうとしないし、由弦も気を揉む。周りは雪ちゃんを男娼だって罵りながら利用し続けるし、今回みたいに手に負えない厄介ごとを全部押し付けられる」
 何も変わりはしない。以前までは薬で雪也も無理矢理眠り精神の安寧を保っていたのだろうが、浩二郎という危険な臭いのする男が同じ空間にいるかぎり、周や由弦を守るために雪也は決して薬を飲まないだろう。だから今の雪也は顔色も悪く、なまじ顔の作りが良いものだから消えてしまいそうな儚さがある。
 浩二郎が庵から出れば、また雪也は薬を飲んで確かな睡眠を得ることができるだろうが、それは以前と同じ状況に戻るだけ。結局、末子のように雪也を罵倒する者も、肉屋の主人のように厄介ごとを押し付ける者も増えこそすれ、消えたりはしないのだ。
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