必ず会いに行くから、どうか待っていて

十時(如月皐)

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〝尊皇〟
 周がよく聞くと言っていた、その言葉。二百年以上もの長い間、平川家が将軍としてこの国を治めていたその権を、華都にまします帝に返上せよというものだが、それだけであればいち町民に過ぎない雪也たちにはあまり関係のないことだ。誰が治めようと、摂家でも近臣でもない雪也達に何を決める権利など無い。治める者が変わる、ただそれだけの事。今まで将軍が変わり政策が変わり、それによって振り回されることなど多々あった。その点に関しては、町民もある程度は慣れている。だが、今回は少し、様相が違う。
 多くの若者が未来を、国の在り方を語る。それは良い事だろう。だが彼らの手には、鋭く光る刀が握られていた。血濡れることも、自らが血に伏せることも厭わない。
 国を変えようと雄叫びが上がる。同時に聞こえるのは甲高い鉄の擦れる音と、耳をつんざくような悲鳴。真っ赤に染めるのはおびただしい血か、それともすべてを焼き尽くす劫火か。
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