必ず会いに行くから、どうか待っていて

十時(如月皐)

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「……俺は、なぜ、ここに」
 新しい国を作るため、未来の礎を築くため、国の膿に誅伐を下そうと仲間と共に刀を握った。しかし警護の者達も当然のことながら刀を持って応戦してきて、目の前で仲間たちがバタバタと倒れていった。そして己も切られ、そして、そこから記憶が無い。庵の中を見渡しても仲間の姿はない。治療されたのは己だけなのだろうか。考えれば考えるほど絶望が押し寄せてきて、男は耐えるように眉間に皺を寄せた。そんな男に、雪也は一歩近づく。
「すべてを知るわけではありませんが、私が知っていることなら教えます。ですから布団に横になってください。急に動いたからでしょうが、随分と顔色が悪いですよ」
 言われてようやく、男は自分の心臓が異常なほどに早鐘を打ち、額にはびっしりと脂汗が浮かんでいることに気が付いた。雪也の言う通り、急に動けるほど男の身体は回復しているわけではないらしい。
 自覚したからであろうか、一瞬視界が揺れ黒く染まる。このままでは何もわからず倒れるだけだと悟り、とにかく情報を得なければと男は促されるままに布団へ横になった。
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