必ず会いに行くから、どうか待っていて

十時(如月皐)

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「それが俺にもサッパリでさぁ。店番で立ってたら、なんかフラフラしたこいつが来て、目の前で倒れてよ。慌てて皆で近づいたら、えれぇ血まみれだし。おかげで娘らは叫んで怖がって近づきもしねぇし、男らも気味悪がって関わろうとしねぇしよ。俺もどう見たって厄介ごとだから関わりたくもねぇけど、店の前でずっとぶっ倒れられても困るし、死なれたらもっと困るからよ」
 こんな面倒ごとはごめんだとばかりに言って、彼は立ち上がる。
「雪ちゃんには悪いけど、こういう輩はこれ以上関わっても碌なことがねぇから俺はここで終いだ。後は救うも捨てるも雪ちゃんの好きにしてくれ」
 じゃぁ、そういうことで、と肉屋の主人はそそくさと庵を出ていった。そのあまりの言い草に由弦はポカーンと口を開いて呆気にとられていたが、雪也は良くも悪くも慣れていて、特に何を言うことも無い。肉屋の主人と入れ替わるようにして水を運んできてくれた周に微笑み、桶を受け取る。
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