324 / 714
323
しおりを挟む
「それが俺にもサッパリでさぁ。店番で立ってたら、なんかフラフラしたこいつが来て、目の前で倒れてよ。慌てて皆で近づいたら、えれぇ血まみれだし。おかげで娘らは叫んで怖がって近づきもしねぇし、男らも気味悪がって関わろうとしねぇしよ。俺もどう見たって厄介ごとだから関わりたくもねぇけど、店の前でずっとぶっ倒れられても困るし、死なれたらもっと困るからよ」
こんな面倒ごとはごめんだとばかりに言って、彼は立ち上がる。
「雪ちゃんには悪いけど、こういう輩はこれ以上関わっても碌なことがねぇから俺はここで終いだ。後は救うも捨てるも雪ちゃんの好きにしてくれ」
じゃぁ、そういうことで、と肉屋の主人はそそくさと庵を出ていった。そのあまりの言い草に由弦はポカーンと口を開いて呆気にとられていたが、雪也は良くも悪くも慣れていて、特に何を言うことも無い。肉屋の主人と入れ替わるようにして水を運んできてくれた周に微笑み、桶を受け取る。
こんな面倒ごとはごめんだとばかりに言って、彼は立ち上がる。
「雪ちゃんには悪いけど、こういう輩はこれ以上関わっても碌なことがねぇから俺はここで終いだ。後は救うも捨てるも雪ちゃんの好きにしてくれ」
じゃぁ、そういうことで、と肉屋の主人はそそくさと庵を出ていった。そのあまりの言い草に由弦はポカーンと口を開いて呆気にとられていたが、雪也は良くも悪くも慣れていて、特に何を言うことも無い。肉屋の主人と入れ替わるようにして水を運んできてくれた周に微笑み、桶を受け取る。
1
お気に入りに追加
112
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
【旧作】美貌の冒険者は、憧れの騎士の側にいたい
市川パナ
BL
優美な憧れの騎士のようになりたい。けれどいつも魔法が暴走してしまう。
魔法を制御する銀のペンダントを着けてもらったけれど、それでもコントロールできない。
そんな日々の中、勇者と名乗る少年が現れて――。
不器用な美貌の冒険者と、麗しい騎士から始まるお話。
旧タイトル「銀色ペンダントを離さない」です。
第3話から急展開していきます。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
みどりとあおとあお
うりぼう
BL
明るく元気な双子の弟とは真逆の性格の兄、碧。
ある日、とある男に付き合ってくれないかと言われる。
モテる弟の身代わりだと思っていたけれど、いつからか惹かれてしまっていた。
そんな碧の物語です。
短編。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
今世では誰かに手を取って貰いたい
朝山みどり
BL
ノエル・レイフォードは魔力がないと言うことで、家族や使用人から蔑まれて暮らしていた。
ある日、妹のプリシラに突き飛ばされて、頭を打ち前世のことを思い出し、魔法を使えるようになった。
ただ、戦争の英雄だった前世とは持っている魔法が違っていた。
そんなある日、喧嘩した国同士で、結婚式をあげるように帝国の王妃が命令をだした。
選ばれたノエルは敵国へ旅立った。そこで待っていた男とその日のうちに婚姻した。思いがけず男は優しかった。
だが、男は翌朝、隣国との国境紛争を解決しようと家を出た。
男がいなくなった途端、ノエルは冷遇された。覚悟していたノエルは耐えられたが、とんでもないことを知らされて逃げ出した。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
ある日、木から落ちたらしい。どういう状況だったのだろうか。
水鳴諒
BL
目を覚ますとズキリと頭部が痛んだ俺は、自分が記憶喪失だと気づいた。そして風紀委員長に面倒を見てもらうことになった。(風紀委員長攻めです)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
楽な片恋
藍川 東
BL
蓮見早良(はすみ さわら)は恋をしていた。
ひとつ下の幼馴染、片桐優一朗(かたぎり ゆういちろう)に。
それは一方的で、実ることを望んでいないがゆえに、『楽な片恋』のはずだった……
早良と優一朗は、母親同士が親友ということもあり、幼馴染として育った。
ひとつ年上ということは、高校生までならばアドバンテージになる。
平々凡々な自分でも、年上の幼馴染、ということですべてに優秀な優一朗に対して兄貴ぶった優しさで接することができる。
高校三年生になった早良は、今年が最後になる『年上の幼馴染』としての立ち位置をかみしめて、その後は手の届かない存在になるであろう優一朗を、遠くから片恋していくつもりだった。
優一朗のひとことさえなければ…………
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
案外、悪役ポジも悪くない…かもです?
彩ノ華
BL
BLゲームの悪役として転生した僕はBADエンドを回避しようと日々励んでいます、、
たけど…思いのほか全然上手くいきません!
ていうか主人公も攻略対象者たちも僕に甘すぎません?
案外、悪役ポジも悪くない…かもです?
※ゆるゆる更新
※素人なので文章おかしいです!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる