必ず会いに行くから、どうか待っていて

十時(如月皐)

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 時代は動くと弥生は言った。確かに、その流れはたかが人間に止められるものではない。二百年以上続いた衛府の権威がこれほどまでに落ちているのが良い証拠だろう。
「あなたは、どこかで確信を持っているのですね」
 衛府を壊すのは華都でも各領でもなく、峰藤であると。峰藤が、衛府に牙を剥くと。だが、今の情勢を見るにそれを否定することは、杜環であっても不可能だった。
 手を伸ばし、弥生の肩に触れる。彼は何を思って、ここまで来たのだろう。一歩間違えれば無礼だと罵られ、その立場すら危うくなるであろうに。本来ならば背負う必要のないものを背負ってまで。
「わかりました」
 静かに、しかし力強く告げられたそれに弥生は顔を上げる。そんな彼に、杜環は微笑みを見せた。
「あなたが命を懸けるというのであれば、私も命を懸けましょう。この国のため、民のために」
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