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衛府を潰し、政を帝に返す。尊王を願い過激に動いている多くの者はどこにも所属しない民衆であったが、近頃は各領主も動き出しているようだ。そんな中、弥生は茂秋の動きを注視しながら華都にある峰藤邸へと赴いていた。目の前では峰藤領の補佐官、杜環が静かに茶を飲んでいる。すぐそばに立派な刀があることからも、彼が武官であることは間違いないが、見た目は穏やかな文人といった風情だ。それでも、彼が切れ者であり、峰藤の武官たちを統率していることを弥生は知っている。だからこそ、弥生は忙しい時間の合間を縫って、彼の元へ来たのだ。
「春風殿は近臣であられるが、どこか友のようにも感じている。それに、お互い腹の探り合いは時間の無駄というものだろう。よければ、真意を語ってはもらえまいか。今この時に、この峰藤領の補佐官である私の前へ来た、その理由を」
杜環はただの補佐官ではなく、参謀の役割も果たしているというのは有名だ。息をするように腹の探り合いをすることは可能だろう。だが、彼はあえて弥生に腹の探り合いは無駄だと告げた。その理由を正確に理解して、弥生も手に持っていた茶器を置く。
「春風殿は近臣であられるが、どこか友のようにも感じている。それに、お互い腹の探り合いは時間の無駄というものだろう。よければ、真意を語ってはもらえまいか。今この時に、この峰藤領の補佐官である私の前へ来た、その理由を」
杜環はただの補佐官ではなく、参謀の役割も果たしているというのは有名だ。息をするように腹の探り合いをすることは可能だろう。だが、彼はあえて弥生に腹の探り合いは無駄だと告げた。その理由を正確に理解して、弥生も手に持っていた茶器を置く。
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