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異様に静かな道を周と歩く。濡れ鼠の雪也に何を言ったらよいかわからないのだろう、周はチラチラと雪也に視線を向けるが、何かを言うことは無かった。そんな周に申し訳なさを覚える。
「ごめんね、ずいぶんなものを見せてしまった」
死の淵を彷徨うほどの暴力を受けてきた周に、それを思い起こすような場面を見せてしまった。そうでなくとも、半ば家族のような雪也が打たれる姿を見るのは気分の良いものではないだろう。何が理由かわからないが、周がこっそり後を付けてきていると気づいていたのだから、もっと配慮するべきであった。
周に申し訳ないことをしたと顔を曇らせる雪也に、周は立ち止まって視線を向ける。それに気づいて立ち止まった雪也の頬に、周は手を伸ばした。
「雪也が謝る必要なんかない。それより、大丈夫?」
周がそっと触れるそこは、可哀想なほど真っ赤に染まっている。水桶を投げられたそこは、おそらくどんどんと青黒くなっていくことだろう。
「ごめんね、ずいぶんなものを見せてしまった」
死の淵を彷徨うほどの暴力を受けてきた周に、それを思い起こすような場面を見せてしまった。そうでなくとも、半ば家族のような雪也が打たれる姿を見るのは気分の良いものではないだろう。何が理由かわからないが、周がこっそり後を付けてきていると気づいていたのだから、もっと配慮するべきであった。
周に申し訳ないことをしたと顔を曇らせる雪也に、周は立ち止まって視線を向ける。それに気づいて立ち止まった雪也の頬に、周は手を伸ばした。
「雪也が謝る必要なんかない。それより、大丈夫?」
周がそっと触れるそこは、可哀想なほど真っ赤に染まっている。水桶を投げられたそこは、おそらくどんどんと青黒くなっていくことだろう。
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