必ず会いに行くから、どうか待っていて

十時(如月皐)

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「……薄っぺらな同調など親父さんはいらないでしょうから、ただの本音を言えば、湊は良い子ですよ。善良で、賢く、年相応に子供ではあるけれど、全力で喜び、何かに怒りを覚え、他人の為に涙を流し、他者と遊ぶことの楽しさを知っています。蒼の傍にいて害のあるような子ではないですから、安心して良いと思います」
 ただ見た目で判断して嫌悪するのは褒められたことではない。だからこそ、雪也は同調などはしないと先に釘を刺したうえで、ただ人の子の親として誰もが当たり前にするような心配の種を取り除くことにした。
 その判断を、雪也の言葉を、彼はどう受け止めたのだろう。わからぬまま、件の店に到着した。大きな店構えの呉服問屋だ。
「おやっさん、いるかい? 言ってた子を連れて来たぜ」
 暖簾をくぐり大きな声で父が声をかければ、中にいた客の視線が一斉に向けられる。流石は立派な呉服問屋と言ったところか、客もどことなく上等な身なりをしているようだった。
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