必ず会いに行くから、どうか待っていて

十時(如月皐)

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「まぁまぁ、ああも気さくだから忘れがちになるけど、弥生様は近臣だからね~。そんな弥生様の一番近くで護衛をしている紫呉様も忙しいんだよ」
 ほら、この漬物美味しいよ~、と蒼に差し出された漬物を素直にポリポリと食べながら、それでもいつもは太陽のように明るい由弦はしょんぼりとしたままだ。近くで寝ていたサクラはそんな由弦にチラと視線を向け、やれやれと首を横に振ってもう一度眠りだす。そんなサクラの様子を由弦は「サクラが冷たい」と大げさに泣き真似をしたが、サクラは小さな足で由弦のお尻をチョンチョンと蹴るだけだった。その姿に皆が柔らかく微笑む。
「あ、そういえば。雪ちゃん、明日って時間ある?」
 由弦とサクラのやり取りにひとしきり笑っていれば、蒼が思い出したように雪也に視線を向けた。急な事に、雪也はキョトンと首を傾げる。
「調薬はしようと思ってるけど、空けることはできるよ。どうかした?」
 蒼の店に雪也が買い物に行くことはよくあるが、蒼が雪也に何かを頼むことはほぼ無い。何事かと少し構える雪也に、蒼はそう大したことじゃないと手を軽く振った。
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