必ず会いに行くから、どうか待っていて

十時(如月皐)

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 由弦があれこれと紫呉に話し、それを湊が合いの手やツッコミを入れる。そのやり取りに蒼が笑って、雪也が微笑ましそうに見つめ、そんな雪也を見つめて周も嬉しそうにしていて。そして夜も遅いからと紫呉と由弦がサクラの散歩がてら蒼と湊を家まで送って庵へ帰ってくれば、雪也と周が寝支度を整えていた。
「明日は槍教えてくれる?」
 サクラを抱っこしながらゴロンと布団に寝転がり、由弦は紫呉を見上げる。ワクワクと期待に胸を膨らませている由弦の頭をワシャワシャと撫でて、紫呉も由弦の横にゴロンと横たわる。
「ああ、だからちゃんと時間とれよ」
 紫呉と槍の練習をするからといって、いつもの薬草園の手入れなどをしないわけにはいかない。ちゃんとできるのか? と悪戯っぽく揶揄うように言う紫呉に、由弦はコクコクと大げさなほどに頷いた。
「大丈夫! ちゃんと頑張るし、槍の時間作るから!」
「よし! んじゃ、明日頑張る為にもう寝るぞ!」
 バサリと掛け布団をかける紫呉に由弦もキャァキャァと笑い転げる。その横で周に布団をかけた雪也が灯りを吹き消した。
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