必ず会いに行くから、どうか待っていて

十時(如月皐)

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「特に問題は無いな。あれは我々が有能なのではなく、あの男が無能だっただけだ。いや、無能というよりは無知、と言った方が良いか?」
 幕府に仕える武士として帯刀している者は多い。だが、だからこそ多くの目を気にするべきなのだ。たとえ弥生のように近臣で将軍の信頼厚き者であったとしても、みだりに抜刀し、何の武器も持たず戦う術もない町人相手に振り回せば重罪だ。その地位も、身分も、すべてを剥奪されて一人の人間として裁かれる。
 刀を持っている。戦い方を知っている。違うことはただそれだけで、この国に生きる者達はそういった意味で平等だ。それを理解せず、ただ刀を持ったというだけで好き勝手できると勘違いした男は、もしも今回弥生が動かなかったとしてもいずれ同じ道を辿っていたことだろう。今までのうのうと生きていられたのは、ただ運が良かっただけのこと。だがその運も、雪也に手を出そうとしたことで潰えた。そして自らの行いゆえに、誰からも助けの手は差し伸べられない。
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