必ず会いに行くから、どうか待っていて

十時(如月皐)

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 せっかくだからと、紫呉が由弦に体術を教えていた時、蒼と湊が大きな風呂敷を持って雪也と共にやって来た。どことなく性格が由弦に似ている湊は、とても楽しそうだと瞳を輝かせて紫呉と由弦の二人を見ており、それに気づいた紫呉が湊を引き入れる。彼からすれば、一人教えるのも二人教えるのも変わらない。
 持ってきた風呂敷を雪也に渡して、まるで飛び跳ねるように紫呉のもとへ行った湊の姿に、蒼は彼が年相応にはしゃいでいるように思えて、ニコニコと笑みを浮かべた。
「あ、サクラちゃんはふて寝?」
 お邪魔するのに手ぶらでは申し訳ないからと野菜を持ってきた蒼は周にそれを見せながら、座布団の上で顔を隠すように眠っているサクラの姿を見てコテンと首を傾げた。それに雪也がクスリと笑う。
「サクラは由弦が大好きだから、紫呉さまにとられたと思ったのかな?」
 でも先程まで由弦と外ではしゃぎまくっていたのだから寝ていた方が良いと、由弦が使っている手拭いをサクラの小さな身体にかけてやる。由弦の匂いがするそれに顔を擦り付けて眠るサクラは、ちょっぴり幸せそうだ。その素直で可愛らしい姿に蒼も笑みが止まらない。
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