必ず会いに行くから、どうか待っていて

十時(如月皐)

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「あ、そうだ雪也! 雪也が刀持ってるって本当か? 紫呉が教えてくれるって約束してくれたんだけど、刀と槍とどっちが良いかな?」
 周の頬を撫でながら、由弦は思い出したようにパッと顔を輝かせて雪也を振り返った。ようやく弥生の手から解放された雪也はほんの少し赤くなった頬を撫でながら首を傾げる。
「さぁ、由弦の興味ある方で良いんじゃないかな。僕は武闘派じゃないし、紫呉さまの槍を持たせてもらったことがあるけど、重すぎてとても振り回せなかったから護身用程度に剣技を教えてもらっただけだからね」
 刀も重いが、槍もそれなりに重い。長さがある分、雪也にとって槍は扱いにくかった。紫呉が自らの槍を貸して教えてくれたが、何度槍に身体が持っていかれ、転びそうになったことか。
 由弦も、雪也とそうたいして体格は変わらない。この庵に来て食事の心配をする必要が無くなったからか、来た当初よりも随分と肉がついてきたが、それでもまだ同年代の男と比べると小さく細いだろう。ならば雪也同様、槍は向かないかもしれない。そこまで瞬時に考えた雪也であったが、あえてそれは言わなかった。
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