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「周のご飯はとても美味しいし、サクラも含めて皆良い人だから、犬が苦手でなければいつでも庵に遊びに来て。買い物とか薬を届けるために外へ出ている時もあるけど、それ以外なら大抵庵にいるから。蒼も時々遊びにくるし、気楽に来て」
たまに弥生たちも来て随分騒がしくなったりもするが、それを気にしないのであればご飯も一緒に食べようと、何でもないことのように言う雪也を、湊はポカンとしながら見つめた。少し目を泳がせて、ゆっくりと口を開く。
「それ、本当? 俺、本気にするよ? 本当に遊びに行くよ? 鬱陶しいくらい行くかもしれないよ? 本当に行って良いの?」
雪也よりも背が高いというのに、だんだんと背を丸めて湊は上目遣いに雪也を見つめる。それは媚びているというよりは否定を恐れて無意識に身を守ろうとしているようで、どうやらその、この国には無い髪色や瞳の色で沢山の苦労や嫌な思いをしたのだろうと雪也はじんわりと胸に痛みを覚えた。ゆっくりと手を伸ばし、その美しく光り輝く金色の髪を撫でる。
「良いよ。周は少し人見知りするけど、僕が事前に話しておくから大丈夫だし、由弦は元々人懐っこいから、湊とも気が合うと思う。サクラも物怖じしないし、可愛いよ。不安なら、蒼と一緒に来ても良いし」
たまに弥生たちも来て随分騒がしくなったりもするが、それを気にしないのであればご飯も一緒に食べようと、何でもないことのように言う雪也を、湊はポカンとしながら見つめた。少し目を泳がせて、ゆっくりと口を開く。
「それ、本当? 俺、本気にするよ? 本当に遊びに行くよ? 鬱陶しいくらい行くかもしれないよ? 本当に行って良いの?」
雪也よりも背が高いというのに、だんだんと背を丸めて湊は上目遣いに雪也を見つめる。それは媚びているというよりは否定を恐れて無意識に身を守ろうとしているようで、どうやらその、この国には無い髪色や瞳の色で沢山の苦労や嫌な思いをしたのだろうと雪也はじんわりと胸に痛みを覚えた。ゆっくりと手を伸ばし、その美しく光り輝く金色の髪を撫でる。
「良いよ。周は少し人見知りするけど、僕が事前に話しておくから大丈夫だし、由弦は元々人懐っこいから、湊とも気が合うと思う。サクラも物怖じしないし、可愛いよ。不安なら、蒼と一緒に来ても良いし」
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