必ず会いに行くから、どうか待っていて

十時(如月皐)

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「もしや、男が雪也を嫁に、と言っていたやつか?」
 弥生の問いかけに、優はひとつ頷く。
「おそらく、そうだろうね。あの茶屋に行って色々聞いたら、皆が口を揃えて言ったよ。男が雪也を見て嫁にって言って、それを断られたら男娼だのなんだのと言って、お尻をいやらしく撫でまわしていたらしい」
「あいつの心臓ぶち抜いてきて良いかぁぁぁぁぁぁッッ!?」
「やめておけ。お前が捕まってさらし首になっても私は助けんぞ」
 あまりのことに勢いよく立ち上がり、今にも槍を持って駆けだしそうになる紫呉を、弥生が薬包を畳みながら静かに止める。怒りの収まらない紫呉に座るよう促して、弥生は優に視線を向けた。
「雪也がどれほどこれを服用したのかわからんが、中毒性は無かったはずだな? 許容量を超えて服用しているのだろうか」
「いいや、周が言うには二包みだそうだから、あまり多く飲むのは賛成できないけど、身体に害はないよ。弥生の言う通り、中毒性もないから、服用自体に問題はないかな」
 安く売っている粗悪品であれば麻薬のようなものが含まれている場合が多いが、雪也が作るのも服用するのも優が教えた薬だ。その点は問題ない。
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