116 / 714
115
しおりを挟む
「サクラ! お前こんなにちっちゃかったのか!」
綺麗になり、こころなしか毛もフワフワになったサクラを見て由弦は感動したように抱きしめた。サクラを見れば何故か得意げに笑っている。その様子を庵の中から微笑ましく見守っていた雪也は立ち上がり、手に持っていた濃い灰色の着物を両手で広げた。
サクラも随分汚れていたが、野宿生活の長い由弦もそれなりに汚れていたのだと紫呉は言っていた。流石にそのままという訳にもいかず、宿で湯を浴びさせ紫呉の着物を貸していたらしいが、紫呉は体格も良く背も高いため、由弦に紫呉の着物は少し大きい。ならば弥生や優の着流しをと思ったが、今までが膝も見えるほどに短い着物だったせいか動きづらく、何度も転びそうになって危なかったらしい。かといって丈の合わない着物を着せ続けるわけにもいかず、そもそも由弦の着ていた着物は随分と汚れ、擦り切れていて使えそうにない。そのため紫呉が小さくなって着ることのできなくなった袴を持ってきたのだ。着流しだと歩幅を気にしなくてはいけなくなるが、袴であれば大股で走ることもできる。由弦にはその方が動きやすいだろうという紫呉なりの配慮であったが、やはり由弦には少し大きかったため雪也が丈を直していたのだ。
綺麗になり、こころなしか毛もフワフワになったサクラを見て由弦は感動したように抱きしめた。サクラを見れば何故か得意げに笑っている。その様子を庵の中から微笑ましく見守っていた雪也は立ち上がり、手に持っていた濃い灰色の着物を両手で広げた。
サクラも随分汚れていたが、野宿生活の長い由弦もそれなりに汚れていたのだと紫呉は言っていた。流石にそのままという訳にもいかず、宿で湯を浴びさせ紫呉の着物を貸していたらしいが、紫呉は体格も良く背も高いため、由弦に紫呉の着物は少し大きい。ならば弥生や優の着流しをと思ったが、今までが膝も見えるほどに短い着物だったせいか動きづらく、何度も転びそうになって危なかったらしい。かといって丈の合わない着物を着せ続けるわけにもいかず、そもそも由弦の着ていた着物は随分と汚れ、擦り切れていて使えそうにない。そのため紫呉が小さくなって着ることのできなくなった袴を持ってきたのだ。着流しだと歩幅を気にしなくてはいけなくなるが、袴であれば大股で走ることもできる。由弦にはその方が動きやすいだろうという紫呉なりの配慮であったが、やはり由弦には少し大きかったため雪也が丈を直していたのだ。
1
お気に入りに追加
112
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
【旧作】美貌の冒険者は、憧れの騎士の側にいたい
市川パナ
BL
優美な憧れの騎士のようになりたい。けれどいつも魔法が暴走してしまう。
魔法を制御する銀のペンダントを着けてもらったけれど、それでもコントロールできない。
そんな日々の中、勇者と名乗る少年が現れて――。
不器用な美貌の冒険者と、麗しい騎士から始まるお話。
旧タイトル「銀色ペンダントを離さない」です。
第3話から急展開していきます。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
案外、悪役ポジも悪くない…かもです?
彩ノ華
BL
BLゲームの悪役として転生した僕はBADエンドを回避しようと日々励んでいます、、
たけど…思いのほか全然上手くいきません!
ていうか主人公も攻略対象者たちも僕に甘すぎません?
案外、悪役ポジも悪くない…かもです?
※ゆるゆる更新
※素人なので文章おかしいです!
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
楽な片恋
藍川 東
BL
蓮見早良(はすみ さわら)は恋をしていた。
ひとつ下の幼馴染、片桐優一朗(かたぎり ゆういちろう)に。
それは一方的で、実ることを望んでいないがゆえに、『楽な片恋』のはずだった……
早良と優一朗は、母親同士が親友ということもあり、幼馴染として育った。
ひとつ年上ということは、高校生までならばアドバンテージになる。
平々凡々な自分でも、年上の幼馴染、ということですべてに優秀な優一朗に対して兄貴ぶった優しさで接することができる。
高校三年生になった早良は、今年が最後になる『年上の幼馴染』としての立ち位置をかみしめて、その後は手の届かない存在になるであろう優一朗を、遠くから片恋していくつもりだった。
優一朗のひとことさえなければ…………
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
今世では誰かに手を取って貰いたい
朝山みどり
BL
ノエル・レイフォードは魔力がないと言うことで、家族や使用人から蔑まれて暮らしていた。
ある日、妹のプリシラに突き飛ばされて、頭を打ち前世のことを思い出し、魔法を使えるようになった。
ただ、戦争の英雄だった前世とは持っている魔法が違っていた。
そんなある日、喧嘩した国同士で、結婚式をあげるように帝国の王妃が命令をだした。
選ばれたノエルは敵国へ旅立った。そこで待っていた男とその日のうちに婚姻した。思いがけず男は優しかった。
だが、男は翌朝、隣国との国境紛争を解決しようと家を出た。
男がいなくなった途端、ノエルは冷遇された。覚悟していたノエルは耐えられたが、とんでもないことを知らされて逃げ出した。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
ある日、木から落ちたらしい。どういう状況だったのだろうか。
水鳴諒
BL
目を覚ますとズキリと頭部が痛んだ俺は、自分が記憶喪失だと気づいた。そして風紀委員長に面倒を見てもらうことになった。(風紀委員長攻めです)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
騎士団で一目惚れをした話
菫野
BL
ずっと側にいてくれた美形の幼馴染×主人公
憧れの騎士団に見習いとして入団した主人公は、ある日出会った年上の騎士に一目惚れをしてしまうが妻子がいたようで爆速で失恋する。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
みどりとあおとあお
うりぼう
BL
明るく元気な双子の弟とは真逆の性格の兄、碧。
ある日、とある男に付き合ってくれないかと言われる。
モテる弟の身代わりだと思っていたけれど、いつからか惹かれてしまっていた。
そんな碧の物語です。
短編。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる