必ず会いに行くから、どうか待っていて

十時(如月皐)

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「何も恥ずかしがることは無かろう。だが、しばらくはここにも来れぬだろうからな、雪也の料理を堪能しておかねば」
 成長した証を恥ずかしがる必要もないと言う弥生に、椀を持ったままの雪也はほんの少し瞳を丸くさせて首を傾げた。
「何か、弥生兄さまがお忙しくなるようなことがあるのですか?」
 流石の雪也もこれまでの年月で弥生が雪也に甘く過保護であることは疑いようもなく、今でもこの庵に三日と空けず遊びに来ている。そんな弥生がしばらく来ることができないとは、何かあるのだろうか?
「ああ、まだこちらにまで話が回ってきていないのか。だが、どのみちもう少ししたら噂も流れるであろうから、まぁ良いだろう」
 いくら雪也に甘い弥生であっても、彼はこの国の政を行う衛府の要職に就く人間だ。当然一般市民である雪也に言えぬことも多い。雪也もそれがわかっているので、弥生が〝言えない〟と言ったことに深く立ち入ろうとはしないが、今回は特別隠すことでもないらしい。弥生は椀に白菜をよそいながら何でもない事のように口を開いた。
「なに、新たに将軍として即位された上様の元に華都よりご正室として宮様が嫁いでこられるのだ。摂家の姫君とは比べ物にならぬほどの行列でお輿入れになるからな、こちらにも近くになれば噂が流れるだろう」
「…………宮様? 摂家の姫君ではなく、宮様ですか?」
 春風の屋敷にいた時に弥生や優から一般常識を教え込まれた雪也はますます首を傾げた。
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