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「おかあさま! おかあさま! フィアナもほしい!」
 言うと思った。近頃のフィアナは何でも母や兄の真似をしたがる。予想通りのそれに、ミシェルはうふふ、と微笑んだ。
「あら、フィアナもお願い事があるの? 良いわよ。フィアナの分も買ってあげるわ」
 後でじぃに言っておくから、手配してもらいましょうね。そう言った母にフィアナはワクワクと興奮を隠せない顔で満面の笑みを浮かべた。
「ほんとう!? ほんとうね!?」
 まるで一面に花が咲くような、そんな笑みにアシェルも自然と笑みが浮かぶ。
 約束通り、ミシェルは舞踏会に行く前にじぃにペンダントのことを頼み、そして忠実なる執事は希望通りのペンダントを後日用意した。ミシェルが持っているものと同じ、内側にルビーの花が埋め込まれた、小さなペンダント。
「ほら、フィアナ。お約束のペンダントよ。お願い事をして、胸に下げてね」
 ワクワクと瞳を輝かせるフィアナの首にペンダントを下げた母は、なぜか振り返ってアシェルの元へ歩いてくる。そして、首を傾げるアシェルの首にそっとペンダントをかけた。
「え……?」
 それはフィアナが嬉しそうに眺めているペンダントと同じだった。思わず手にとって開けると、やはり内側にはルビーの花が咲いている。
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