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「あ、そうだ。これあげる。お茶会で用意されていたお菓子なんだけど、あなたは好きかな?」
どうぞ、と掌に転がされたのは持ち運びができるよう紙に包まれた小さな焼き菓子だった。甘い紅茶に合うよう甘さが控えめでレモンを利かせたそれは、砂糖菓子のような甘さを求める子供に持たせるには不向きなように見えて、ルイはキョトンと目を見開く。その様子にアシェルはしまった、と申し訳なさそうに苦笑した。
「ごめん、甘いものを持ってくれば良かったね。僕はあまり甘いものが好きじゃないから、伯爵夫人が気を遣ってこれをくださったんだけど、あなたは甘い方が良かったよね。何でも僕を基準に考えちゃうのは僕の悪い癖なんだ」
何か別のものを貰ってこようと言って腰を浮かしたアシェルを、ルイは慌てて袖を掴んで引き留めた。フルフルと首を振って違うのだと伝える。
「ごめんなさい、違う……。これ、僕も好き……」
本当は好きでも嫌いでもないけれど、せっかくくれたアシェルに気まずい思いをさせたくなくてルイは咄嗟に嘘をついた。その嘘に騙されてくれたのか、アシェルは小さく微笑んで再びルイの隣に腰を下ろす。
どうぞ、と掌に転がされたのは持ち運びができるよう紙に包まれた小さな焼き菓子だった。甘い紅茶に合うよう甘さが控えめでレモンを利かせたそれは、砂糖菓子のような甘さを求める子供に持たせるには不向きなように見えて、ルイはキョトンと目を見開く。その様子にアシェルはしまった、と申し訳なさそうに苦笑した。
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