ありあまるほどの、幸せを

十時(如月皐)

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 女の子がルイに気づいてキョトンと首を傾げていれば、すぐにルイや女の子よりも少し年上だろう少年がやって来た。性別や年齢こそ違うが、顔の造りや茶色の髪が同じであることから、おそらく二人は兄妹なのだろう。女の子を追いかけて来た少年がようやくルイの存在に気づいて、女の子と同じようにキョトンと首を傾げた。そして女の子の肩を優しく抱きながらルイの前にしゃがみ込み、ヘニョリと眉尻を下げる。
「うるさくして申し訳ない。その、こんな所でなにを? 気分が悪いのか?」
 俯くルイに体調が悪いのかと少年は心配しているようだ。違うのだと首を横に振ると、少年は立ち去るでもなくもう一度首を傾げた。
「気分が悪いわけじゃないなら、一緒に戻ろう? 美味しいお菓子も用意されてるみたいだよ」
 子供の輪に入りづらいのだろうかと気を利かせた少年が手を差し出すが、それにもルイはフルフルと首を横に振る。もう放っておいてほしいとルイは願うが、少年は何を察して何を思ったのか、キョトンとしたままの女の子に〝お母さまのところでお茶をいただいておいで〟と言って送り出し、ズボンが汚れるのも厭わずにルイの隣に腰かけた。
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